羅刹
すずりはさくらの本棚
羅刹
羅生門には人影はない。居ても一人二人。
下人の姿はまだない。
寒くなったなー……
丸で下人が費やした時間を大義名分のごとく慕う。
茹で上がったばかりの海老。
脳みそは忙しそうだ。
そこへ下人がやってきた。
聳え立つ羅生門。寒々しく健気だ。
下人は欠伸を一つした。色艶の良い袴。
おそらくは、五つ色の一人。
何だよ金無しかよ……。
金はあろうが頬に紅も塗れぬ。
無に帰すとはこのことか。
所詮は前座なんだよ。
刀傷のある下人。おそらく切られたのだろう。
婆がのぞいている。
ゴリアテが婆の首を狙い撃ちしている。
地球とはそういうものなのだろう。
下人はそう想像するといたたまれなかった。
下人が消えた先は心の闇。
婆を見、獣を見た先が、罪だというなればそうなのだろう。
羅刹 すずりはさくらの本棚 @meikyu-0521
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