スズメが窓にぶつかったら人間になりました

テヴェスター

初回話

ドンっ。


ぽと。


****


あれ? 飛行中に障害物?


ああ、私は窓にぶつかったのだ。


ささっと翼を伸ばして、目的地へ急ごう。


...


あれ?


翼がない。


そして何故か自分は大きい。


自慢の口ばしも、ない。


これは、なんだ?


人間の、手?


捕まえられる!


...あれ?


頭?


身体?


足も、立派な棒へと進化したのか...?


もしや、私は...


「人間になったのか?!」


****


!喋った。


ヌルヌルした口ばしで、大きな声が出た。


驚きでフンを一つ出したいが、お尻もしっかり地面に付いてる。


どうすればいい?!


...とりあえず、立つ。


体が空高く伸びて、まるで棒の様だ。


見る限りの、窓。


ここら辺をウロウロすればいいのか?


とりあえず、歩く。


片足を上げようとしたその先、バランスを崩して、またお尻が地面にぺったり。


私は出したいのだ!


ただの粒の一つのはずが、何だかウズウズする!


分からない!


****


「助けて!」


!無意識に声が出る。


大きな音を出した矢先、人間が来た。


「えっ。 ベランダになんかいる。」


「しかも裸。 えっキモっ。」


ああ、この私が!


ガラガラ...


「大丈夫ですか?」


喋る?


「大丈夫だ。」


「一粒出る。」


「えっ。 やば、ダメ。」


何なんだ!


「トイレでして。」


トイレ?


「とにかく立って、」


持ち上げられる。


フラフラ、バランスがイマイチ取れない。


****


「もうさ、大丈夫?」


「私は窓にぶつかったのだ。」


「あ。 そうなんだ。 救急呼びますか?」


救急?


仲間の援護?


ぶつかっただけだ、助けはいらない!


「いいえ、とにかく、」


「トイレ、」


「ああもう。 分かったよ、こっち来て!」


体を連れられる。


捕まえられてしまった。


****


「ほら。 座って。」


???


白い物体。


とりあえず、そこにお尻を付ければいいのだな?


ぶつ。


ふん。


...何で踏ん張らなければいけない?


お腹を壊したか?


****


「もうさ、あんた誰?」


「私はスズメだ。」


「はあ?」


「と言うか、何故見ているのだ!」


「だって、多分危ない人だから。 何するか分かんないし。」


「いや、窓にぶつかって起きたらこの様に変化したのだ!」


「多分ドラックだなこれは。 ハイ。」


「いいえ! 繰り返すが、私はただのスズメだ。」


「じゃあ何で裸なの?!」


「鳥には羽がある!」


「いや、無いじゃん。」


羽の衣も全部抜けたものか?!


****


「いつまでここに付いていればいい!」


「流して。」



流す?


雨が洗うものじゃ無いのか?


「もういい。」


ジャジャー...


「流したから、早く来て。」


また連れられる。


****


人間の、部屋。


胸に押し付けられる、生地の集まり。


「いい加減に、これ着て。 恥ずかしい。」


? 恥ずかしい?


この身体が、恥ずかしい者なのか?


「早く、」


ああもう。


****


パンツ。


穴が空いている。


ここに足を通すのか?


それとも顔?


「嫌だ、違う!!!」


顔に被ったパンツをボッと没収されて、下に向けられる。


「足で履いて! こういう風に!」


ああ。


足を通して、履いた。


「シャツも、」


これは顔を通してもいいんだな?


「手も通すの。」


手?


この棒の翼の事か?


ああ。


「やっとそれっぽくなった、もう。」


****


「後はズボンだけ。」


ズボン...


長さから見ると、足を通すべきに思える。


「ボタンとチャック、閉めて。」


ボタン...?


チャック...?


「ほら、見て。」


相手の、手の伸びる方向を見る。


体の衣を、触る様だ。


何だか、引き締まった。


****


「完成。 はあ。」


気づけば、自分はすっかり「人間」と言うこの身体にに慣れていた。


「...ああ。」


羽織る生地が、心地よい。


「まるで体に衣を縫ってくれた様だ。」


「ありがとうな。」


「いい加減にして。」


「なあ。」


「...何?」


「少し、ここに居てもいいか?」


「もう、後で警察に連れて行くから。」


「ああ、構わない。 私はこれから君のペットだ。」


「スズメはペットになれないよ、バカじゃない?」


「いい加減にしろ!」


ドンっ。


****


「えっキモ。 壁ドン。」


なんだ?


壁に腕を押さえて、相手の顔を見つめている?


相手は、人間。


見た目からしてメスだと思われる。


「私はオスのスズメだ。」


「それくらい分かるよ、だって、だって...!」


「...もう嫌だ、」


...。


****


今まで鳥として生まれてきて、初めて、自分の存在が恥ずかしく思った。


「見てたのか。」


「丸見えだった。 しかもずっと。」


「あんた、本当に鳥だったの...?」


「」


「もちろん。 そうでなければ、こんなにさらけ出しては、いないはずだ。」


「スズメの世界は厳しい。」


「...もっと教えて。」

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