ふくらみ
io
ふくらみ
世界は
いつからこんなに
薄くなったのだろう
言葉が速すぎて
手触りが
追いつかない
答えが先にあって
問いが
あとから置かれる
空気は張りつめ
すべてが
軽く
正しく
急いでいる
でも
ほんとうは
世界は
もっと
たぷたぷしていた
歩くたび
揺れ
立ち止まれば
戻り
触れれば
応えた
名づける前の
温度
意味になる前の
重さ
それらが
折りたたまれ
速度に
変換された
だから
ひびが入る
心が
身体が
関係が
わたしは
押し広げたいのではない
ただ
戻したい
息を
一拍
遅らせ
未分類のまま
置いておく
わからない
ままで
抱える
判断せず
説明せず
閉じない
すると
世界は
少し
膨らむ
音が
丸くなり
沈黙が
居場所を取り戻す
世界は
急がなくても
壊れない
ふくらみは
弱さではない
それは
耐えるための
余白
揺れるための
厚み
生きものが
生きものとして
立っていられる
かたち
今日も
世界を
少しだけ
たぷたぷに
それで
十分だと思う
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