かいだん道中

@nikub40

第1話

 そのサイトとの出会いは高校生になって3ヶ月が経った頃だった。


 高架を走る電車から街を眺めていた時、ふと気になる建物が目に入った。外観はなんの変哲もない雑居ビルという雰囲気だったが、最上階の窓全てに内側から新聞紙が貼り付けられ目張りされているのだ。しかも屋上には大きな石や鳥居のようなものが転がっていた。

(明らかに他の建物とは違う異質なものを感じる…。)オカルト好きで気になると調べずにはいられない性分の私はネットで色々と情報を集めたところ、そのビルは『東宮アーバンビル』という名前だと分かった。しかしビル名で調べても、名前以外の情報はほとんど出てこなかった。

諦めの悪い私は検索内容を変え繰り返し調べ続けているとあるサイトが引っかかった。


『妖地巡礼』


投稿されているスポットは関西を中心にまとめられており、その中の一つ「東宮市の廃ビル」というタイトルの記事に私が調べているビルの情報が記載されていた。


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投稿日:2023/08/23 16:25

このビルは某宗教団体が所持していたビルであり、関西で活動するための本拠地であったようだ。

この宗教団体は死者の蘇生を目的としており、布で作った人形を用いて死者を復元するとのことである。

2010年代中頃まで活動していたようだが、その後は情報がなく、現在はすでに解散しているものと思われる。

廃墟になりそれなりの時間が経過しているようで、屋上にある祭壇は既に崩壊している。


 筆者がこのビルを調べている時にある人物から恐ろしい話を聞いた。

このビルが廃墟化してまもない頃に肝試しのため不法に侵入した若者たちが建物の内部で人を見たというのだ。

荒れ果てたビルの中で女性が1人椅子に座っており、若者達を見つけるとゆっくりと歩みよってきた。パニックになった若者達は近所の住人に助けを求めたが、誰も中に入り事実を確かめる勇気はなかったそうだ。なぜなら近所では以前からビルの中に人がいるのではないかという噂が囁かれていたのだ。

ビルの中に人影を見た、物音を聞いたといった話が自治会に多数寄せられたため、警察に相談したそうだが異常は確認できなかったという。しかし、その後も人影を見たとの話は絶えず、いつの間にか窓が全て内側から塞がれてしまったらしい。人影は誰だったのか窓を塞いだのは誰なのか、このビルは数多の謎を残し、現在もここにある。


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 上の記事とともに2枚の画像が掲載されている。1枚目はビルの外観、2枚目は近くの駅から撮影したであろうビルの屋上の画像。

画像を見る限り私が調べていたビルと同じものだと分かる。

自分が気になっていた場所が実際に怪しい場所としてまとめられているのを見た私は妙な高揚感に襲われて、どうしてもこの場所に行ってみたくなった。


(休みの日に行ってみようかな…。)


 まだ高校生の私に心霊スポット巡りはハードルが高い。しかしこのビルは駅から数分の好立地?の物件であり、通学路の途中にあるため定期券を使えばただで行ける。


 明日の放課後、私はこの場所に行くことに決めた。

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