終焉の最強探索者〜最底辺を這いずっていた無才無能の俺は、魔石を喰らって至高へと至り無双する〜

朔月カイト

最弱の独白


 力が欲しいと、そう何度となく願った。


 ことわりに反していてもいい。

 闇に堕ちてもいい。

 この手を汚してもかまわない。


 悲しみに涙した。

 辛さに唇を噛み締めた。

 苦しみに呻き声を上げた。


 この日々遠ざけられ虐げられる不条理な現実から救い出してくれるなら、どんな辛い苦難だって耐え切って見せる。


 力を⋯⋯力を⋯⋯力を、チカラ、ちから⋯⋯⋯⋯。


 そうこいねがう俺の声がいつしか天上へと届いたのだろうか。


 ある時、大きな転機が訪れた。



「⋯⋯式君! 式君、しっかりして!」


 彼女の必死に呼びかける声が耳朶を揺らす。


 その声に心を振るい立たせ、痛みで意識が朦朧としながらも、覚束ない動きでそれへと手を伸ばす。


 噂でしか語られた事のないおぞましい行為。


 そうする事で俺は何か大事なものを失ってしまうかもしれない。

 ともすればこの身が化け物に変容する可能性だってないとは言い切れない。

 だが、もし俺の望む力が得られたとしたら──。



 一縷いちるの望みに賭けて俺は、



 ──ガリッ、ガリッ、ゴクン⋯⋯。



 それを咀嚼、そして嚥下えんかした。


 窮地に立たされていた俺が、必死にこの世にしがみつこうと懸命に取ったその行動に、神の声が答えた。


 そして俺は、他の誰もが決して辿り着けない至上へと至り、ただひたすら渇望していた絶対的な力を手に入れた。


 機は熟した。


 ここから俺の無双劇による成り上がりが始まる──。


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