探偵Tの記録簿
@T-hidehide
ケース1-1 依頼者 30代 妻
T「どうも探偵YouTuberのTです。今回の依頼者さんは30代の奥さんです」
(場所はTの事務所で撮影。Tは横に居る依頼者さんを見る。依頼者には顔にボカシ、声は変えてある事を説明した)
依頼者「よろしくお願いします」
T「では、奥さんの方から今回の依頼内容をもう一度、説明して頂けますか」
(Tは奥さんに優しくそう言った)
依頼者「はい、ちょうど1ヶ月前ぐらいから旦那の様子が変わってきて、残業や出張が増えて来たんです。出張なんてない会社なのに...夜に旦那のLINEを見たら女と思う名前の人と連絡取り合ってて....もう限界が来て1人だと無理なのでTさんに依頼したんです」
(Tは一瞬、カメラを意識するように視線を戻した)
T「そこで前回お会いした時にお願いをして証拠となる物をいくつか撮って来て頂いて俺もデータを頂いてます」
T「そして、こちらも色々と調べた結果、色んな証拠がありました。それらは全て奥さんにはお見せしてます。今回、奥さんが撮って来たLINEのスクショで今日、旦那さんがお相手と会う場所で2人を待とうと思います」
T「では、そこに行く前に最後の奥さんの決断をお聞きします」
依頼者「はい、こうなった以上、慰謝料をもらって離婚で」
(依頼者さんは大きく頷きながらそう言った)
T「では、今からそこに移動しましょう」
—移動中—
T「今、移動終わって旦那さんとお相手が会う約束してるホテルの入り口が見える離れた場所にいます。追跡班の連絡でもう少ししたら2人がこっちに着くそうです」
(Tはホテルの入り口を見ながら言った)
T「2人が現れたら、まずは奥さんに先に行ってください。すぐに俺も行きます。それで奥さん行く場合はスマホで撮影しながらでお願いします。それも証拠になるので」
依頼者「わかりました」
T「この手の案件、感情的になりやすいですからね。そこだけ気をつけましょう」
依頼者「はい」
T「それじゃ連絡を待ちましょう」
—追跡班から連絡—
T「はい、今旦那さんと相手の2人がもうすぐこちらに来るようです。あっ来ました。奥さんアレ旦那さんで間違いないですよね?」
依頼者「はい、そうです」
(Tと依頼者に緊張が走る。いよいよ突撃の時)
T「じゃ奥さん動画撮りながら奥さん行ってください。俺もすぐ行きます」
(依頼者の奥さんはスマホで動画を撮りながら2人に近づいて行く。少し後にTとカメラマンも後を追う)
依頼者「ちょっと『旦那』ここで何してんのよ!」
旦那「えっ、お前なんでここに」
依頼者「どうでも良いでしょ。貴方、今日残業って言ってなかった?なんでこのホテルに来てるの!」
女「この女誰?」
依頼者「私『旦那』の妻です」
女「えっ、奥さん...」
(Tが依頼者と合流する)
依頼者「どういう事か説明して」
旦那「いや、その..それよりコイツ誰だよ」
T「探偵Tと言います。俺は奥さんに相談されてここにいます」
旦那「部外者じゃねえか」
T「部外者ですが、奥さんに相談されて依頼された以上、ここにいる権利はありますよ」
旦那「依頼?なんの依頼だ」
(旦那は奥さんに詰め寄るがTが間に入って旦那を止める)
T「手を出さないでください。手を出しちゃうと後々面倒になりますよ」
(Tがそう言うと旦那は下がり、舌打ちをした)
依頼者「この状況でわからない?その女は誰なの!」
(奥さんがそう言うと旦那は少し動揺していた)
旦那「こ、この人は仕事の事で、打ち合わせをしてるんだ。なあ『女』さん」
女「え、ええ」
(女は急に振られて焦る)
T「ホテルで?2人で?」
依頼者「会社でやれば良いでしょ!」
旦那「会社で2人で打ち合わせしてたら変な噂立つだろ。ホテルでやった方がいいんだ」
T「なるほど、打ち合わせは今日が初めて?」
(Tが段々と問い詰めて行く)
旦那「あゝ初めてだ」
T「それはこのホテルで会うのがって事ですか?」
(一瞬、旦那が目を逸らすのをTは見逃さなかった)
旦那「なんの事だ!今日が初めてだと言っただろ。なんの根拠があるんだ」
女「そうよ。ホテルで打ち合わせしちゃダメって事はないでしょ」
旦那「そもそも、何で他人のお前に言わなきゃならないんだ!当人同士で良いだろ!」
T「当人同士じゃ話にならないから第三者である俺が間に入って話を聞いてるんです。大体、貴方奥さんが何回も話そうとしたのに聞かなかったらしいですね!」
(Tは強めに旦那に言った)
旦那「そ、そうだが、赤の他人がいる場所でするべきじゃないだろ」
(旦那はTと奥さんを睨むような目で見てきた)
依頼者「この女とは何回も来てるんでしょ!」
旦那「お前もしつこいな!初めてだと言っただろ」
(Tは旦那に向かって)
T「初めて?」
旦那「あゝ初めてだよ」
(今度は女に向かって)
T「貴女も?」
女「初めてよ。さっきから彼もそう言ってるでしょ」
(Tは奥さんの方を見て)
T「このままだと埒が明かないので証拠見せても良いですか?奥さん」
依頼者「はい、お願いします」
旦那「証拠だって」
T「俺と奥さんが何も用意しないで来てるように思いますか?証拠も無しに来てるって思いますか?」
旦那「.......」
T「じゃまずこの画像見てもらえますか?」
(Tは専用のスマホを出すと2人に画像を見せた。画像は4日前に違うラブホに入って行く画像)
T「ほら、次に先週がこれ。ここも違うラブホだね。そんでこれが昨日。このホテルだね。おかしいですね、
初めてじゃなかったね」
(旦那と女は黙り込む)
旦那「だが仕事の打ち合わせをしてたんだ」
T「男女が2人密室で?仕事の?なんの打ち合わせしてたんだろうね」
女「仕事って言ってるでしょ」
T「仕事ねぇ、じゃ2人の間に体の関係はないと言い張るんだな!」
(Tは少し強めに聞いた)
旦那「何回もそう言っただろ」
女「そうよ」
T「なかったと誓いますか?」
旦那「あゝ」
女「ええ」
(Tは少し考え)
T「奥さん、こう言ってますが?」
依頼者「全部知ってるのよ」
(奥さんは少し興奮気味で旦那に詰め寄るがTが止める)
T「奥さん落ち着いてください。手は出しちゃダメですよ。こっちが不利になるから。じゃ次の証拠を、もう見せますね?」
依頼者「お願いします」
(Tは再度スマホを出すと奥さんがスクショしたLINEを2人に見せる)
T「ほら、よく見て。これ貴女でしょ?」
(女の手が僅かに震えた)
女「......」
旦那「.........」
依頼者「気持ち悪い」
旦那「こ、これ勝手に撮って犯罪だろ!」
依頼者「はぁ?『旦那』がロックし忘れて、見たくも無いもの見せられたのよ!」
T「旦那さん、貴方の不注意でバレたんですよ」
旦那「............」
女「...........」
(旦那と女は言葉にならずに黙り込む)
T「これでも2人は体の関係が無かったと言えますか?」
(だが2人は答えない)
T「じゃ旦那さんにもう一度聞きます。こちらの女性と体の関係はありましたね?」
(しばらくして)
旦那「はい」
T「じゃ女性の方に、もう一度聞きます。この旦那さんと体の関係はありましたね?」
(女もしばらくして)
女「あの人がそう言うならそうでしょ」
次回
その場に、短い沈黙が落ちた。
2人の言葉で、すべてがはっきりした。
もはや「浮気」ではない。
これは、不貞行為だった。
――ケース1-2へ続く
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