飽くなき灰汁
岸亜里沙
飽くなき灰汁
結婚して数年、料理みたいにゆっくりとコトコト
ほどよく味が染み込んで、いい
でもなんだか最近、
掬っても、掬っても、また溢れそう。
「なんなのよ、この
喧嘩になると、ワタシはいつも叫ぶ。
「逆に言えば、それだけ同じ
彼は笑いながら話す。
「そんな考えは
また言ってしまった。彼の
「上手い!座布団1枚!」
彼が手を叩く。
「何も面白くないわよ!
ワタシは力説する。
昨日、駅前で見た某政治家の街頭演説みたいだと自分でも思った。
「君のネバネバした
彼はイタズラ小僧みたいに舌を出す。
「…な、何よ、それ!
ワタシは顔をまっ赤にする。
「もうさ、この際、お互い
彼は体をワタシに近づけ、髪に触れてくる。
「ちょっと、触らないでよ…」
不意なドキドキが、
ああ、狂おしいほどの飽くなき葛藤。
「喧嘩して、仲直りした後の
「まだ仲直りしてな……んんっ」
強引に唇を重ねて口封じされ、ワタシは言葉を失う。
そういえば、どうしてワタシは喧嘩してたんだっけ?
飽くなき灰汁 岸亜里沙 @kishiarisa
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