白鳥さんの愉快な日常  出張版その3

夢水 四季

 最近、卵が高い。

 鶏のエサの価格の高騰、鳥インフルエンザによる鳥の減少、猛暑により産卵数の減少が理由らしい。

 近所のスーパーに買い物に来て、卵の価格を見て落ち込む。

「また上がってやがる」

「あら、そうなの?」

 隣には買い物に付いて来るのはレアな白鳥がいる。

「ニュースとか見てないのかよ」

「見ているわよ。アニメと声優関連は特に」

「庶民的な物価高騰のニュースも見てくれよ」

「私、庶民ではないもの」

「そうだった、お前はプチセレブだったな。買い物は価格も見ずにカゴに入れるタイプだったな」

 そう言うが早いや白鳥は自分のお気に入りのチョコレートをカゴに入れた。

「おいおい、無言で入れてくの止めろって」

「いいじゃない、どうせ払うのは全て私なのだから」

 そうしてハーゲンダッツを4個カゴに入れる。

「ハーゲン4個かよ」

「ええ、私2個と高村君と烏丸君にも」

「俺らにも買ってくれるのは有り難いけどさ」

 白鳥教信者の烏丸の喜びの声が聞こえる。

「それで卵に話を戻すとだな……」

「あら、まだカゴに入れてなかったの? 早く入れてきなさいよ」

「うるせえ。卵は高いって言ってるだろうが。もうハンバーグに卵トッピングしてロコモコ風にするの止めるぞ」

「気に入っているから止めるのは止めなさい」

 白鳥が少し焦っている風に言った。

 好物を作ってもらえなくなるのが嫌なのだろう。

「お金は私が出すって言っているでしょう」

「はいはい、分かったよ。卵買えばいいんだろ」

「分かればいいのよ」


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白鳥さんの愉快な日常  出張版その3 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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