忠犬ハチ公

第1話 クラスメイト


あれはいつだったかもう思い出せない。

初めてだった。私がここまで人を好きになる事が、自慢だと思われても仕方ないが何人も付き合った事があった。

しかし、初めて一人の女子が好きになってしまった。彼女は、まっすぐな性格で、男には媚びるような乙女言葉など使わないような人間だった。この時は、まだ好きだというよりか「なんだこいつ」という印象が強くあったのが覚えている。

たしか、その子は卓球部だった。私は、サボりながらもパソコン部の副部長を務めていた。本当に、面倒くさくて机に突っ伏して、寝ていた。

いつも、部活が終わるのは夜十八時に終わっていた。私は耳にイヤホンをして、曲を聴きながら帰っていた。いつも一人で帰るのが寂しい気持ちを抱えながら音楽を聴いていました。駅に着くと、一足先に彼女が先輩と話しながら電車を待っていた。

そして、何事もなく電車に乗り、帰った。


第2話 桜の席替え

新学期が始まり、桜も満開で私は高二になりました。

新学期といってもクラスは一クラスなので、生徒自体は大きな変化は無かったのです。しかし、席順は少しの変化がありました。私の前に座るのは、彼女だった。

私は別に気に入る事はなかったが 、せっかく前に座ったので仲良くなろうと思い、私から話しかけました。

私は、人見知りなので最初の会話は「ここの所を教えて欲しい」という、つまらないものでした。しかし、彼女は嫌な顔をせず分かりやすく丁寧に教えてくれたのです。

そこから、毎日のように話すことが多くなりました。彼女は自称アニメオタクで、毎日アニメの話をしていました。私も多少ですがアニメを見ていたので、話が噛み合う所は噛み合い、噛み合わない所は彼女からどんなアニメか教えてもらっていました。

正直、ずっとこのまま続いて欲しいと心の底から思ってしまったのです。


3話 いいよ

2年の秋、紅葉も落ち冬に差し変わろうとしていました。

私は、テストに向けて彼女の講義を受けていました。とても、スパルタで厳しい講師でしたが、心の中では楽しく嬉しかったのです。

何故だろうか、彼女と話しているだけなのに心が踊っていて、正直テスト勉強なんか忘れて、私の目的は彼女と話す事に変わっていました。初めて気がついたのです、彼女の笑顔が、とても綺麗な物を見るようなキラキラとした目がとても可愛く好きだと感じました。

ここからです、彼女が好きだと思ったのは。

そして、ついに私は覚悟を決め彼女に「一緒に帰りませんか」と言いました。彼女は驚いた顔をしていましたが、返事はすぐに返ってきました。

「いいよ」の三文字でしたが、目はキラキラとしていたのです。

一緒に帰り、いつものアニメ話をしながら帰ったのです。彼女は、なにを思ったのか「LINEを交換しようよ」と、突拍子のない事を言ったのです。私には、断る理由がないし、なんなら心から喜びが溢れそうでした。

そして、お互い家に着いた頃でしょうか。私は一緒に帰った事のお礼を言うためにLINEで「今日は一緒に帰ってくれてありがとう」と送りました。相手は、一分もしないうちに返信が返って来ました。

「いえいえこちらこそありがとう」と。

それに続き、彼女から一通の連絡が来たのです。

「もし嫌なら良いのだけど、好きって言ったら困る?」と連絡が来たのです。

私は、驚く暇なく反射的に返しました。

「困るわけがない、僕も好きです」

言葉は覚えていませんが、確かこんなふうに返した気がします。私は意をけして返事したのです。

「付き合ってくれませんか」

彼女は、また一分もしないうちに「いいよ、よろしくお願いします」と返事を返してくれました。

所謂、「両思い」で始まった恋愛でした。


第4話 忠犬ハチ公

高三の冬、皆は就職か進学が決まった時期です。

私は、進学で遠い所に行かなくてはなりません。

彼女とは、今年の春に別れました。

別れた話は、悲しいのでここでは書きません。唯一言えるのなら「価値観の違い」でしょうか。

私は、未だに納得が行かない所がありますが、今更言うのも違う気がしたので、心の奥底に閉じました。

私は、本当に彼女の事が、未だに大好きです。これは、嘘だと思いたくても思い切る事など、できないでしょう。

もし、彼女が他の彼氏が出来たのであれば本心から「幸せになって欲しい」と思うでしょう。

それくらい彼女が好きなのです。

私はあの子にとっての忠犬ハチ公なのです。

もしも、あの子が私を求めるなら。

尻尾を振りながら、あなたのもとに誰よりもいち早く駆けつけるでしょう。

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忠犬ハチ公 @jupqej-2qyfsu-Vurnaz

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