路上占い、あれこれ158【占い師は行列ができる】

崔 梨遙(再)

おやすみなさいの掌編1994文字です。

 ロリコン立花さんのおかげで、いつの間にか僕は女子中学生達に取り囲まれるようになりました。中3の多香子とその女友達、中1の杏子とその女友達、小6の杏奈とその女友達・・・。


 はっきり言って、小学生や中学生を占っても、お金を貰う気にはなれません。なので、儲かりはしません。ただ、賑やかなだけでした。類は友を呼ぶ? 多香子達、杏子達、杏奈達は親しくなりました! ここで交友関係が広がったようです。


 面倒臭い状況だと思っていましたが、それだけの女の子に囲まれたら通行人の目を引くらしく、大人のお客さんが次第に増えてきました。


『ねえ、女の子達。こちらの占い師さんはよく当たるの?』

『めっちゃ当たりますよ! 知らんけど』

『じゃあ、私も占ってもらおうかなぁ、いいですか?』

『はい、どうぞ、どうぞ、何を占いましょうか?・・・・・・』


 僕はお客さんには名刺を渡すので、リピーターさんも増えました。その時のお客様は圧倒的に女性が多かったです。


 ですが、ほぼ毎回、盛りあがっているところに立花さん50代後半デブ&ハゲがやって来ます。


『処女はおらんのかぁ~♪ 処女~♪ 処女~♪』

『うわ! また立花のオッサンやぁ!』

『来た! 来た! もう、なんで来るねん』

『おお! 今日も若い女の子達でいっぱいやなぁ、飯食いに行こうや』

『今日もご飯だけご馳走になる?』

『そうしようか? お腹空いたし』

『オッサン、私達、Hはせえへんで』

『わはははは、人はお金で変わるんや! 値段交渉は飯を食いながらやで』


 立花さんは女子中学生プラス小学生を連れて消えて行きます。僕は残ります。巻き込まれたくないですから。


 そして、お客様をポツポツ見ていると、立花さんが沢山の女子を引き連れて帰って来ます。正直、帰ってきてほしくないのですが。


『崔さん、ただいま~!』

『今日も大丈夫やった? 誰も立花さんのお誘いをOKしてないよね?』

『してません~!』

『私達、そこまでアホじゃありませ~ん!』

『おいおい、杏子ちゃんには30万の貸しがあるんやぞ!』

『あら-! 何の証拠があるんですか? 30万って何のことですか?』

『オッサン、シャワー浴びてくれるなら10万でええで』

『アカン! 俺はもうHするまで風呂には入らん。逃がさへんで~!』

『ほな、ホテルには行かへん~!』

『崔さん、私達、崔さんなら無料(ただ)でもええで』

『そうそう、占い師って、なんか神秘的で良い感じ』

『彼氏が占い師って、カッコイイよね!』

『崔さん、やっぱり私達じゃアカンの?』

『せめて18歳以上にならないとね』

『えー! いいじゃないですか。崔さんって彼女いるんですか?』

『うん、いるよ』

『OLさんですか?』

『いや、今は女子大生と付き合ってる』

『えー! 私達とそんなに年齢変わらないじゃないですか-!』

『大違いやで。21歳やで』

『なんか納得いかないんですけどー!』

『私達も学校ではモテるんですよ-!』

『崔さん! 俺、千春ちゃんからブロックされたぞ』

『それは立花さんが悪いんですよ。「やらせろ」と「なんぼや?」だけで女性は口説けませんよ』

『なんか、納得いかへんわ』

『まあ、いいじゃないですか、こうして大勢の女子と食事できるようになったんっですから。楽しいでしょ? この子達と食事できて』

『そりゃあ、楽しいけど・・・』

『オッサン、こんなにカワイイ女子達と食事できるだけでも喜べや』

『ああ、喜んでるよ、喜んでるよ』

『あーあ、崔さんが彼氏になってくれたら、「私の彼氏は占い師!」って言えるのになぁ・・・』

『そうそう、それ、カッコイイよねー!』

『男の占い師やったら誰でもええんやろ? 他の占い師のお兄さんを口説いたら?』

『えー! 崔さんの意地悪!』

『崔さん! お待たせ!』

『よう、千夏。遅かったね』

『ごめん、用事が長引いたから』

『うわ! 崔さん、この女性(ひと)が崔さんの彼女さんですか?』

『うん、そうやで』

『うわ、めっちゃ美人-!』

『スタイルもめっちゃええんやけど』

『ほな、僕はこれで。みんな、遅くならないうちに帰らなアカンで』

『みんな、カラオケ行こうや!』

『えー!? オッサンとカラオケ?』

『ええやん、オッサンには歌わせないから』

『そうか、ほな行こうかなぁ』

『崔さんの彼女さん、なんて名前ですか?』

『私? 千夏やけど』

『千夏さん、友達に崔さんのことなんて言ってます?』

『そうやねぇ・・・「私の彼氏は占い師!」って言ってる』

『やっぱり! そう言えるのがカッコイイよね』

『なんや、みんな、男の占い師やったら誰でもいいみたいやね』

『そんなことないですよ-!』

『崔さんだからいいんです-!』

『ほな、みんな、またね! 補導されないように注意せなアカンで』



 その日、立花さんは意気揚々と女子を引き連れていましたが、警察官から職務質問をされたそうです。大丈夫、女子達は立花さんが職務質問されている間に逃げることができたとのことです。あーあ、だから注意しろと言ったのに、立花さん・・・。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

路上占い、あれこれ158【占い師は行列ができる】 崔 梨遙(再) @sairiyousai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る