悪役貴族に転生したけど、才能がないなんて聞いてない!~醜い豚と罵られるオレは努力でハッピーエンドを掴み取る~
コーラ
プロローグ
「あぁ、くそっ! 金もねぇし、家もねぇ、おまけに食い物もねぇときた。ろくに何日も飯を食ってないせいで力がはいんねぇ」
公園のベンチで横になりながら1人ゴチる。家を追い出されてからはまともに食えてない。
そんな中、雪が頬に当たった。
「雪かよ……どんだけついてねぇんだ」
大学を卒業してニートを続けること10年弱、ずっと親に寄生していたが、ついに親も堪忍袋の尾が切れたのか1万円を手切金として追い出された。
それをパチンコで溶かしてからは食うものもなく、ゴミ箱を漁っていたがそれも限界のようだ。
「あー、世界が回って見えてきた」
比喩でもなんでもなく、実際に空がぐるぐると回ってきた。
自分の体のことだ、自分が一番よくわかる。もう長くはないだろう。
「嫌いなものから逃げた先がこれかよ……」
嫌いなものとは努力だ。
学生の頃は、一切勉強をせず大学は名前を書いたら合格するようなFラン大学を受けた。
大学を受けた理由は単純明快で働きたくなかったからだ。朝早くから起きて嫌な上司の相手をして、そんな社会人なんかに誰がなりたいんだ。
だけど働く事からは逃れられないもので、大学を卒業と同時に就職をしなくちゃいけなかった。
だから俺は鬱のフリをして診断書という武器を持って、就職活動をせず家でゲームして適当に過ごしてきた。
周りはちゃんと就職したが、俺は何かと理由をつけて働かなかった。
……そのうち母さんや父さんも次第に何も言わなくなった。
きっと呆れていたのだろう。それでも良かった。だって楽だったから、このまま適当にやり過ごせると思っていた。
それが最近自立センターだかなんだかの職員に唆されて家を追い出されたのだ。
「あぁ、クソ。努力してたら何か変わっていたのか?」
変わっていただろう。少なくともこんな場所で餓死なんてする事はなかった筈だ。
親との関係もここまで悪くなっていなかっただろう。もう顔も思い出せないけど友達と自然消滅することもなかっただろう。好きだったあの子と付き合えたかもしれない。
そんなどうしようもない考えが頭の中をぐるぐると回っている。
そういえば、今日はクリスマスだった。あの頃は良かった。母さんと父さんが居て、楽しくて……あの時食べたケーキやチキンは美味しかったなぁ。
「………ぃ! ……み! ……う……か!?」
なんだ? 騒がしい。今思い出に浸っているんだ。静かにしてくれ……
「……!!! ……!!!!」
体を揺さぶるな。
なんか体がふわふわする。夢か? そうだ。この夢が覚めたら努力してみよう。
死ぬ寸前でわかった。人間、生きている以上は努力するしかないんだ。何かを手に入れるには頑張らないといけないんだ。
だから俺は目が覚めたら努力するんだ。
そうしたらきっとゲームのようなハッピーエンドが待っているはずだ。
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