クラスの恐ろしいギャル、実は俺の推しアイドル(清純派)。オタク知識でプロデュースして武道館に連れて行くはずが、なぜか「秘密の特訓」は毎晩ベッドの上で終わる件
@ren-dreaming
序章
序章:天使の封印解除(アンシール)
世界中が「くるみちゃん」を、天から舞い降りた天使だと信じている。 朝露を食べて生き、男の手など握ったこともない。その清純さこそが、令和の宝だと。
「……嘘つき。痛い。外して、湊(みなと)! 早くっ!」
六畳一間の俺の部屋。薄暗い聖域の中で、その『天使』は今、荒い息を吐きながら俺の事務椅子に跨っていた。
彼女は艶やかな黒髪の「姫カット」のウィッグをむしり取り、俺の机に放り投げた。 その下から溢れ出したのは、反逆の滝のような地毛――。淡いピンクのハイライトが入った、アッシュブロンドの髪。 狭い部屋に、バニラの香りと、強烈な雌の匂いが充満する。
彼女の名は、早見レナ。 俺のクラスメイトであり、学校一恐れられているギャル。 そして……国民的トップアイドルの、真の姿だ。
「……息が、できない……」 彼女の指が、豊かな胸を絶望的に押し潰している白い「さらし」に食い込む。 「Fカップが、今日は……怒ってるみたい……っ」
俺は眼鏡のブリッジを押し上げた。 冴えない「モブキャラ」としての表情を消し、腹の底から網膜へと熱を溜める。 部屋の空気が一変した。ワールドカップのPK戦直前のような、重苦しい圧力が場を支配する。
「落ち着け、レナ。今から解除(アンシール)シークエンスを開始する」
俺の声は一オクターブ低くなった。それは高校生の青臭い声ではない。戦場の指揮官が発する、冷徹な響きだ。
カッと目を見開く。 世界が青いワイヤーフレームとデータポイントに変わった。
【スキル:絶対神眼(アイドル覚醒)――起動】
ターゲット:早見レナ。 状態:危険圧縮。 推定体積:Fクラス。 反動危険度:Sランク。
薄暗い中で紫色の光を放つ俺の眼は、バインダーのフックをロックオンした。 布地のストレスポイントが、彼女の柔らかく白い肌に食い込んでいるのが手に取るようにわかる。
「動くな」
俺は命じた。 手が伸び、彼女の火照った背中の肌に触れる。 彼女はびくりと震え、ファンクラブには決して聞かせられないような声を漏らした。 「んぅ……っ」
構うものか。俺は機械だ。プロデューサーだ。求道者だ。 俺の指が、フックを捉えた。
――カチッ、カチッ、カチッ。
「封印――解除(リリース)」
ボヨンッ、と。
それは幻聴ではなかった。物理的な現象だった。 高張力の布地から解放されたFカップの圧倒的な質量が、決壊したダムのような勢いで溢れ出す。 重力を無視して一瞬だけ跳ね上がった肉の塊は、やがて重々しく、ゼリーのように波打つ残像を俺の網膜に焼き付けた。
【視覚解析完了。バウンス係数:98%。肌の弾力性:最適】
「はぁ……はぁ……っ!」 レナは前のめりに倒れ込み、顔を真っ赤にして、深い青色の瞳に安堵の涙を浮かべた。 「死ぬかと……思った……っ」
彼女が俺を見上げる。 シャツははだけ、肌にはバインダーの赤い跡が痛々しく残っている。 普通の男なら即死するほどの、扇情的な光景。 だが俺は目を逸らさない。紫の瞳を細め、揺れる肢体の隅々までをスキャンする。
「レナ。左側の圧迫が強すぎたせいで、シルエットに2%の非対称が生じている。武道館のために、即座に冷却ジェルでメンテナンスを行う必要があるな」
レナは瞬きをし、さらに顔を赤く染めた。 自分の胸を腕で隠しながら、畏怖と熱の混じった視線を俺に向ける。
「……アンタ、それ。アニメの主人公みたいな、かっこいい声で言ってるけど……」 彼女は唇を噛み、鋭いギャルの瞳で俺を睨みつけた。
「結局、私の胸をジロジロ見てるだけじゃない。この、エロプロデューサー!」
「見ているのではない」 俺は高級ローションのボトルを手に取り、宣言した。 「品質管理(クオリティ・アシュアランス)だ」
これは、隠れオタクの俺が、絶対神眼を駆使して恐ろしいギャルを史上最高のアイドルへと変貌させていく物語。 そして俺が「国家的な損失」を防ぐために、毎晩彼女の身体に触れ続けなければならない理由である。
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