料理で異世界を征服する!

山椒王尾

料理で異世界を征服する

平凡なサラリーマン、佐藤太郎(28歳)は、残業続きの毎日を送っていた。ある日、トラックに轢かれそうになり、気づいたら見知らぬ森の中にいた。

「ここ……どこ?」

周囲はファンタジー世界そのもの。木々には光る実がなり、遠くにドラゴンが飛んでいる。太郎の前に現れたのは、銀髪の美少女召喚士、エルリア。

「勇者様! ようこそ我らの世界へ! 魔王を倒してください!」

こうして、太郎は異世界転生者となった。だが、ステータスを見ると……

【名前:佐藤太郎】

【職業:料理人(地球産)】

【スキル:現代料理知識、無限調味料生成、味覚強化】

【戦闘力:5(平均的おじさんレベル)】

剣も魔法も使えない。バトルは絶望的だ。

「え、料理人? そんなスキルで魔王倒せるの……?」

エルリアは困惑したが、王国は勇者を召喚した手前、仕方なく太郎を冒険者ギルドに登録した。

王国は魔王軍の脅威にさらされていた。魔物が村を襲い、人々は飢えと恐怖に震えていた。この世界の料理は、基本的に「茹でただけ」「焼いただけ」。味気なく、栄養も偏っている。

太郎は思いついた。

「戦うんじゃない。食わせて、心を掴むんだ!」

最初は小さな村から。太郎はスキルで醤油やマヨネーズ、ケチャップを生成し、簡単な炒め物を作った。

「これが……ハンバーグ?!」

村人たちは涙を流して食べた。魔物すら、匂いに釣られて寄ってきて、食べたら大人しくなった。

「うまいものは、正義だ!」

太郎の店「地球食堂」は瞬く間に人気に。冒険者たちが集まり、魔王軍の斥候すら客として来るようになった。

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