第13話 妖狐様からの見返りは?(1)

「……ん? 見返りか~?」、「……お主への見返りは、そうじゃなぁ~?」


 僕が妖狐さまへとソフトワッフルをお供えすれば、何を対価にくれますか? と尋ねれば、彼女はこの通りで急に考える人へと変化──!


「う~ん」、「う~ん」と呻りつつ僕の容姿を上から下──下から上へと舐めるように見詰め観察……。


 そして彼女の呻りと考える人のポーズが解ければ。


「相沢翔太、貴様は、どうやら呪いのようなもの……。怨念や怨霊……。悪霊の類なもので心の病にかかっていうようじゃなぁ、大変に不幸なことにのぅ……」と。


 妖狐さまは僕の心の病……。重度の女性アレルギーとパニック障害を哀れんだ顔で僕のことを見詰めつつ指摘をしてきた。


「えっ! あっ、うん……。そうですね……」


 僕は妖狐さまの指摘に頷き、その通りだと告げると。


「あの、お稲荷さま? 僕の心の病、重度の女性アレルギーとパニック障害の方は病院へも診察へといき、先生から言われたのでわかりますが、僕に怨霊や悪霊みたいな物が憑りついているとは、どう言うことなのですか、お稲荷さま?」


 僕は妖狐さまが言っている、僕に悪霊が憑りついているのだと言った意味がよくわからないから、彼女の美しい金色の瞳を見詰めつつ尋ねた。


「……ん? わらわも今相沢翔太の側にきたばかりだから、お主に憑りついている物が地縛霊、悪霊、物の怪なのかは、まだわからんよ……。それにお主は、わらわがこのソフトワッフルの甘くて美味しそうな匂いに惹かれて、この場にきたのだろうと、邪悪なことを思っているかもしれんが。わらわはソフトワッフルの美味しそうな匂いに引かれ相沢翔太の側にきたわけではない。お主から大変な邪気を感じたから、わらわは広島へと帰るのを一旦中止にして、お主の許へと舞い降りただけじゃ、相沢翔太……。よく心得ろ!」


 僕が妖狐さまに、自分に憑りつくものはなにか? と尋ねると。


 妖狐さまもまだ僕の側にきたばかりで、僕に憑りつくものは何か? わからないと説明はしてくれた。


 そして僕の側に舞い降りたのは彼女は、ソフトワッフルの甘い匂いに誘われた訳ではなく。僕から漂う怨念、邪念に惹かれて舞い降りただけだと告げてくるけれど。


 今の妖狐さまの様子……。


 透明なプラッチクのケースの中に並んでいる色々な味のソフトワッフルを変顔で見詰めながら。


「ああ、美味そうじゃのぅ~、ソフトワッフル」


 と呟きつつ、今にも口から涎を垂らしそうな締まりのない顔をしている妖狐さまの様子を見れば、僕は彼女の説得力がやや欠けるのと。


 妖狐さま! お稲荷さま! 彼女の容姿は本当に麗しいのだから。


 お稲荷さま、そんなだらしない変顔はしない方がいいのでは? と言いたくなる衝動に駆られる僕だけれど。


 妖狐さまの容姿を見れば年頃の少女だから、僕はいらない言葉を言わないように心がけるのだった。



 ◇◇◇



「うむ、美味いな、これは~。美味しいぞ、相沢翔太~」、

「むしゃむしゃ、うん、美味い! 美味いぞ! 相沢翔太~!」、

「むしゃむしゃ、わらわは満足じゃ~」と。


 まあ、僕が妖狐さまへとお供えした? ソフトワッフルのイチゴとブルーベリージャムを妖狐さまは両手で握りながら、自分の小さなお口へと交合にリズムよく運びながら試食……。


 僕が焼いた、作ったソフトワッフルは美味しい、美味だと褒め称えてくれるけれど、妖狐のさまの容姿を見る限りはどうみてもJKの少女ぐらいに見えるから。彼女は年頃なのだから、そんなざっくばらんと言うか? 男性や子供みたいに豪快に食べなくてもと思う。


 だって妖狐さまの容姿を見れば、銀髪頭の異国情緒う溢れる美少女さまなのに本当に勿体ない。


 僕は素直に思いながら。


「お稲荷さま、ホイップクリームが頬についていますよ」と。


 僕はラブコメのテンプレ通りに、妖狐さまの頬についた甘いホイップクリームを近くに置いてあるティッシュペーパーで拭き──拭き拭きして終われば。


「お稲荷さま~、僕はちゃんと貴女にお供え、供物しましたよ~。お稲荷さまの方は本当にだいじょうぶなのですか?」


 僕は呆れた顔で作り笑いをしつつ妖狐さまへと問いかけた。




(お願い)


 レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る