第11話 妖狐様との出会い(3)
まあ、後は15時のおやつ時間に運よければ売れるって感じで……。16時から18時までの間の時間はお客さんが店舗へと来店されても足も速く、目的が違う……。
まあ、小腹が空いている人が強引にトークを入れれば購入してくれる程度……。
また、そうらしいと、この岡山県は備前市、日生町、五味の市の店頭で販売をしているちくわのおじさんや芋けんぴのおじさん……販売歴10年や35年以上のベテランのおじさん達が、実演販売を始めたばかりの僕に、これが販売の秘伝の奥義だと丁寧に教えてくれたから間違いないと思う。
特に35年以上……。昭和の時代から芋けんぴや豆菓子、ドライフルーツ、珍味を販売しているおじさんが教えてくれたのは、ショッピングモールやスーパーマーケットも営業時間が午後の19時の頃は18時から19時の閉店間際もよく売れていたらしい。
しかしショッピングモールやスーパーマーケットも営業時間が延長されてから、お客さまが時間的に集中しなくなってきたから売れなくなったと。
おじさんが青空を見上げつつ遠い過去……。昭和のバブルの時代を懐かしく思いだしながら、いつも嘆くように、本当に何でも売れた……。
それもトークなどなくても黙ってよく商品が売れた時代だったんだよ、と。
まあ、嘆くように僕に教えてくれるけれど。
平成生まれの僕にはスーパーマーケットやショッピングモール、コンビニエンスストアーの営業時間が早く、店が閉まっていたと教えてもらってもピン! とこないから。
『はぁ、はぁ』とだけいつも頷いているのだよ、と説明したところで、僕は話を元に戻すけれど。
まあ、そんな感じで今日も午前中にソフトワッフルが売れていない僕だから、不審な物の怪の妖狐さまがキッチンカーの店先にいると困るから。
僕は何故か妖狐さまに対して恐れ慄くこともしないで冷静に、彼女へと『早く帰ってくれないか』と思いつつ苦笑いまで浮かべる余裕をみせながら。
「これはソフトワッフルと呼ばれる食べ物で、挟んだ生地の中に果物とホイップクリームが入った甘くておいしい洋菓子ですよ。あっ、ははは」
僕は妖狐さまに苦笑いを浮かべながら答え。
『早く帰れよ!』とも思える余裕を物の怪相手に何故か見せることが可能だけれど。
妖狐! お稲荷さま!
そう少女の銀の髪色と金色の瞳には不釣り合いな、和仕様の巫女服姿の物の怪さまは、御自身の艶やかな唇を開き。
「わらわは店主! お主が毛嫌いをしようが帰らぬからのぅ、肝に命じておけ」と。
僕が脳内で妖狐さまへと悪態をついているのを察して不満を告げてきたから。
「えっ!」
僕は驚嘆した。
「お、お稲荷さまは、もしかして人の心の中が読めるのですか?」
僕は妖狐さまに尋ねてみた。
(お願い)
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