黒天教②
私の名前は姫乃流奈。高校一年生の15歳。
そして唐突だけど、深刻な悩みがある。
我が家は代々黒天教の神官を務める一族で、私は巫女として、今年から儀式に参加しなければならない。だからとてつもなく面倒臭い。
でも両親は事故で他界して、今いる家族は物静かな祖母と元気過ぎる弟の春希だけ。
私がやらなきゃ黒天教の伝統が消えてしまう。
そんな半強制的な使命感で巫女の務めを果たさなければならない。
本当に大変だ。
そして、黒天教の重要儀式の1つ「奉神降臨祭」が始まろうとしていた。
「流奈。準備が整うた。御祭壇へ来なさい」祖母が、巫女装束を着て控えの間にいた私に、祭壇へ来るよう指示をした。
「お婆ちゃん、どうしよ。私、緊張してきた」
「大丈夫だよ。普段通りにしていれば」祖母は笑顔で優しく肩を叩いた。
「うん。ありがとう」
でも私はまだ知らなかった。それが災厄を振り撒く邪宗の儀式であったことを。
深淵異譚 ガオ・ダーシン @ponta777
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