私の家の猫と彼

踊るrascal

第1話 猫と私の部屋ぷらす彼


彼が私の部屋に初めて来た日、

猫のミルクはソファの下から

一歩も出てこなかった。


「嫌われたかな」


彼は少し困ったように笑った。


ミルクは人見知りが激しい。

私以外には心を許さない。


だから私は「大丈夫だよ」と言いながら、

内心では少しだけ不安だった。


夜、彼が床に座ってスマホをいじっていると

ふいにミルクが近づいた。


慎重に、でもまっすぐに。


そして彼の足元でくるんと丸くなった。


「……え?」


驚いた彼の声に私は思わず笑ってしまった。


ミルクはしっぽを揺らしながら、

眠そうに目を閉じている。


「この子、君に似てるね」


彼がそう言った。


最初は警戒して

でも一度安心したら離れないところが、と。


私は何も言えずただ頷いた。


胸の奥がじんわりと温かくなった。


その夜、私と彼と猫は

同じ部屋で静かに眠った。


小さな寝息が重なって、

世界が少しだけ優しくなった気がした。

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