殻の中
月野 麗
ただつらつらと
学生生活を送っていて、ふと思う。
我々学生は恵まれていると。
学校という場所がある。
家という場所がある。
「おはよう」と言えば「おはよう、今日の調子は?」と帰ってくる毎日がある。
毎朝起きる時間が定まっている。
登校する時間が決まっている。
学校へ行けば、決められたクラスの中、決められた授業を受ける。
周りを見れば、自分なんかよりも進んでいるように見える人もいて、他人と自分を比べてしまう日だってある。
虐められて、何で自分がこんな思いをしなければいけないのかと泣きたくなる日もある。
生きる希望さえ持てない日も、今生きていることのありがたみがわからない日もある。
そんな日々に息が苦しくなって、大人や周囲の友人に迷惑をかけることがあってしまう。
それでも私たちは
迷い
震え
怯え
足掻く
そんな私たちを、大人はずっと見守ってくれている。
私たち学生は未だ、卵なのだ。
その中に閉じこもって、
いつかここから孵るとき、飛び立つのか、水に潜るのか、そんなことは誰にもわからないけれど。
絶対にこの殻を破ると信じて、学生という時期を送っていこうと思う。
そしてかつて卵であった大人の方々には、もう少しだけ、この卵を温めていて頂きたい。
この卵に宿る命が、外の光溢れる世界を見る日を目指して。
今日を、生きていこう。
殻の中 月野 麗 @tsukino-urara
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