Step by Step〜7人の男子高校生がストリートダンスに捧げた青春〜
薄氷
始まりはここから
第1話 挑戦の幕開け
「俺たちならやれる!」
舞台袖でスタッフと軽くやり取りをした後、真っ直ぐな目をしたリーダー、
その声は静かながらも、視線には闘志がみなぎっている。
他の6人のチームメイトも頷いて、円陣を組んだ。
チームを組んで半年の間、気付けば何かあるときは円陣を組むようになっていた。
端から見たら短い期間かもしれないが、彼ら全員が、今まで生きてきた中で最も濃密な半年を過ごしてきたと思っているだろう。
うつむき加減のメンバーの背中を、別のメンバーがそっとさする。
「吐きそうになってない?」
「⋯⋯大丈夫、多分」
「多分て! それダメなやつやん!」
「おおお落ち着いて深呼吸しろ」
慌てている背中を、横のメンバーがポンと叩いた。
「お前も落ち着けって」
「ここまで来たんだから、今さらもうどうにもなんねーよ」
一連のやり取りにクスクスと笑った海吏は、左右のメンバーの肩に置いている腕に力を込めた。
「俺たちは『
『おう!』
ダンッと全員で足を踏み鳴らす。
7人分の足音は、1つに聞こえた――。
「8番、『ENDLESS SCALE』さん。板付きですね。出番なので舞台上にお願いします」
「はい」
音を立てずに素早く立ち位置につく。
海吏は、0番に立ち、俯いて目を閉じた。
自分を頂点とするピラミッド型で良かったのだろうか――。
薄暗がりの舞台上、久しぶりの静寂がじわりと不安を呼び起こす。
大きな舞台で踊るのは何年ぶりだろうか。
ひとつ浮かぶと、連鎖して別の不安が押し寄せてくる。
(スタンス、狭くないかな? 肩に力入り過ぎてない?)
(顔、引きつってないよな⋯⋯)
観客のざわつきより、自分の心臓の鼓動の方が大きく響いていた。
(心臓が飛び出そうってこういうことか――)
海吏がゆっくり大きく息を吸うと、両肩に手が置かれるのを感じた。
振付の一部ではあるが、二人の手から熱いものが流れ込んでくるように感じる。
自分の緊張を見越してこの入り方にしたのだろうか。
(⋯⋯アイツ天才過ぎるだろ)
後方にいる振付担当メンバーの自信たっぷりな顔を思い浮かべた。
(俺たちは『ENDLESS SCALE』――)
先ほどの自分の台詞を反芻する。
舞台が明転し、フェードインしてきた音楽を捉え、海吏はゆっくりと一歩目を踏み出した。
それは、「あの日踏み出した一歩」に似ているな――と、最初のメンバーと出会った体育館を思い出していた。
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