第7話 新たな任務・地方都市編
王都を後にして、リードは使者とともに馬車で地方都市「ルンフェルド」に向かっていた。広がる畑や森の景色はどこか懐かしいものの、リードの心はすでに「ゆっくり休む」という願望と、「仕事がどんな騒ぎになるか」という戦々恐々な予感で揺れていた。
「リードさん、今回の任務はかなり“急を要する案件”です」
使者は真剣な顔で説明するが、リードは馬車の揺れに身を任せ、目を細めてため息。
「急を要する案件……って、また戦闘ですか?」
「いや、戦闘とは限りません。ただ、市長と商人たちの間で“未確認の魔力騒動”が起きているのです」
リードの眉がぴくりと動く。
「……魔力騒動? 俺の出番ってこと?」
地方都市に着くと、まず目に入ったのは、慌てふためく市民たちと、あちこちで光る小さな魔法の爆発。どうやら、魔力を暴走させる小型のクリスタルが街中で暴れているらしい。
「なんだこりゃ……」
リードは呆れながらも、杖を取り出す。
街の広場で、商人の男が叫んでいる。
「誰か、この魔力の暴走を止めてくれ! お金ならいくらでも払う!」
リードは口元を緩め、ちょっとしたコメディ的間を置く。
「……じゃあ、俺に払うお金は?」
商人は戸惑う。リードは冗談めかして手を振るが、魔力の流れを感じ取ると表情は真剣に変わる。
一振りの杖で、暴走するクリスタルを宙に浮かせ、周囲に安全な魔力の結界を展開。クリスタルは空中で静止し、まるでリードの言うことを聞くかのように落ち着く。
「……やっぱり、俺って魔力の量がちょっと……多すぎるな」
リードは小さく呟き、ふぅと息をつく。
市民たちは一斉に拍手喝采。
「すごい! あの人が来れば何とかなる!」
「いや、あの人って……一体、どんな人なんだ?」
ミリィはリードの肩に飛び乗り、耳元でささやく。
「リードさん、スローライフはいつできるんですか……?」
「……まだ、しばらくは無理だな」
リードは肩をすくめるが、その口元には微かな笑みが浮かぶ。
しかし、街の平穏は長くは続かない。暴走クリスタルの原因は、街外れの古びた塔に眠る“魔力渦巻きの源”だと判明する。しかも、その塔には、ちょっと厄介なギミックや、好奇心旺盛な小型魔物たちが巣食っているらしい。
「やれやれ……また塔か」
リードはため息をつく。だが、この手の騒動こそ、彼の“力の試されどころ”でもある。スローライフの願望と、周囲を放っておけない性格の間で揺れつつ、リードは杖を握り直した。
「まあ……やるしかないか」
こうして、リードの地方都市での“任務付きスローライフ”が幕を開ける。コメディ的な騒動、暴走クリスタル、巻き込まれる市民たち――すべてが、リードの穏やかな願望を掻き乱すのだった。
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