聖(ひじり)ゼンイチの優雅な生活④
あなたの35年が、私の次の物件になる仕組み
プロローグ:午前10時、資産管理の時間
午前10時。都心のプライベートオフィス。
私、聖ゼンイチは、不動産管理会社の担当者と月次レビューを行っています。
「ゼンイチ様、保有物件の稼働率、今月も98%を維持しております。都心マンション3棟、地方アパート2棟、すべて満室に近い状態です」
タブレットに映し出される、私の不動産ポートフォリオ。
総資産評価額:約15億円。
年間家賃収入:約5,000万円。
「素晴らしい。入居者の皆さん、きちんと家賃を払ってくださっているのですね」
窓の外を見ると、建設中の高層マンションが見えます。
あのマンション、販売価格は1戸あたり約5,000万円。
多くの方が、35年ローンを組んで購入されるのでしょう。
月々の返済額、約15万円。
35年間で、総額約6,300万円。
元本5,000万円に対し、利息約1,300万円。
その利息が、どこへ流れるのか。
35年という時間が、何に変換されるのか。
今日は、その仕組みを記録します。
第1章:変換の起点
35年という名の署名
まず、確認させてください。
あなたは今、住宅ローンを払っていますか?
それとも、家賃を払っていますか?
どちらでも構いません。
記録上は、どちらも同じ「変換装置」の入口です。
私の手元の記録を見てみましょう。
【2025年の記録】住宅ローンの実態
- 平均借入額:約4,000万円
- 金利:変動1.0%前後、固定1.5〜2.0%
- 総返済額(35年・金利1.5%):約5,200万円
- 利息総額:約1,200万円
月々15万円の返済のうち、
最初の数年は、約3万円が利息です。
この3万円、どこへ消えたと思いますか?
「銀行の利益?」
はい、その通りです。
明細にはそう書いてありますね。
でも、それは入口の名前に過ぎません。
本当の問題は、その先です。
その利息が、銀行の株主配当を通じて、
最終的に、私のような不動産投資家の次の物件購入資金になる。
35年間で1,200万円。
これは、私が次の投資用マンションを買う際の、
頭金として機能します。
あなたが「マイホームの夢」のために差し出した35年が、 私の「不動産ポートフォリオ拡大」に変換される。
等価交換、成立です。
第2章:夢の無償化装置
どちらを選んでも
ここで、よくある議論があります。
「持ち家 vs 賃貸、どちらが得か」
記録によれば、この議論は非常に盛んです。
双方が、自分の選択の合理性を主張します。
しかし、興味深いことに、
私の視点から見ると、どちらも同じです。
なぜなら——
持ち家を買う層からは、利息を通じて。
賃貸に住む層からは、家賃を通じて。
どちらの蛇口からも、この15万円は、重力に従う水のように、私の口座へと流れ込みます。
この構造の美しさは、
「どちらが正解か」という議論そのものが、
注意を別の場所に向けてくれることです。
その間、私は静かに、
両方の選択肢から利益を得続けています。
効率的な設計ですね。
第3章:利息という名の変換装置
では、もう少し詳しく見てみましょう。
先月、私は某金融機関の支店長と食事をしました。
「ゼンイチ様のような優良顧客がいらっしゃるおかげで、当支店の業績も安定しております」
彼は揉み手をしながら、そう言いました。
私は何も特別なことはしていません。
ただ、配当を受け取っているだけです。
銀行は、悪意で利息を取っているわけではありません。
銀行は、預金者からお金を預かり、それを貸し出し、
その差額で利益を得る。
これは、金融システムの正常な機能です。
記録によれば、日本の銀行の住宅ローン残高は約200兆円。
そこから生まれる利息収入は、年間約3兆円規模です。
この3兆円が、どこへ流れるのか。
一部は、銀行の運営費用に。
一部は、従業員の給与に。
そして、一部は、株主への配当に。
私は、金融セクターの株式を相応に保有しています。
その配当金が、私の不動産投資の原資の一部になります。
あなたが毎月払っている利息3万円。
それが35年間積み重なると、約1,260万円。
この1,260万円が、様々な経路を経て、
最終的に、私の次の投資用物件の頭金になる。
銀行を責めることはできません。
銀行は、ただ効率的に機能しているだけです。
問題は、システムそのものの設計です。
第4章:35年後の非対称性
相続という名の再生産
ここで、時間軸を少し伸ばしてみましょう。
35年後、何が起きているでしょうか。
記録によれば、持ち家世帯の平均資産額は、賃貸世帯の約3倍です。
そして、この差は、次の世代にも引き継がれます。
親から家を相続した子供は、住居費がゼロからスタートできます。
その分、教育費や投資に回せる資金が増えます。
親から家を相続できなかった子供は、家賃を払いながらスタートします。
その分、可処分所得が減ります。
この差が、シリーズ①で記録した「手取りの差」に繋がります。
そして、シリーズ②で記録した「時間の差」に繋がります。
35年という時間が、次世代の「初期装備」の差を生む。
世代間の格差が、こうして固定化されていきます。
35年後に残る資産価値と、その間に支払った利息・維持費・機会損失を比較する計算は、読者の皆さんには少し酷かもしれませんね。
第5章:35年一定であることの不自然さ
さて、ここで一つ、観察結果を記録しておきます。
私のポートフォリオはリスク分散されています。
株式、債券、不動産、それぞれ異なる市場に配分し、
一つが不調でも全体は維持される設計です。
しかし、皆さんの人生は「住宅」という一点に、35年分が集中投資されている。
非常に大胆な賭けに見えます。
記録によれば、人生は35年間一定ではないようです。
- 病気
- 離婚
- リストラ
- 親の介護
- 子供の教育費の増加
35年という長い時間の中で、様々な変化が起きます。
しかし、契約は35年一定です。
月々15万円、ボーナス月は20万円。
一度も遅れず、払い続けることが前提です。
もし、何らかの理由で返済が止まった場合。
万が一、返済が止まってもシステムは止まりません。
任意売却、競売。所有権が移転し、残債だけが皆さんの元に残る。
その残債さえも、債権回収会社を通じて、また私の配当の一部になります。
記録によれば、年間の住宅ローン破綻件数は約1万件。
競売物件数は約3万件/年です。
これは、35年という長い計算式において、
一定確率で発生する誤差として組み込まれています。
何も無駄にはなりません。
第6章:低金利という名の麻酔
「でも、今は低金利だから、ローンを組むのは合理的だ」
そういう声も、記録されています。
確かに、金利1.0〜1.5%は、歴史的に見て低い水準です。
しかし、記録によれば、
金利が低いということは、元本(物件価格)が高騰しているということです。
結局、差し出す人生の総量は、あまり変わりません。
「低金利」という麻酔が、35年の拘束を痛みのないものに変えてくれる。
第7章:思い出という最強の担保
最後に、もう一つだけ記録しておきます。
「家族の幸せは金では買えない。家は思い出の場だ」
この言葉も、よく記録されています。
私は、この感情を否定しません。
むしろ、尊重します。
なぜなら——
幸せという無形の価値を、35年の有形の負債で買う。
これほど贅沢で、資本家にとって都合の良い交換はありません。
「思い出」は、返済を滞らせないための最強の担保です。
あなたが子供の笑顔を思い浮かべるたび、
「この家を守らなければ」と思うたび、
返済は続きます。
その継続が、システムを支えています。
エピローグ:午前11時30分
レビューを終え、オフィスを出ます。
次の予定は、午後1時からの某金融機関の株主総会。
タクシーに乗り込みます。革張りのシートが心地よい。
スマートウォッチで株価をチェックします。
「おや、不動産セクター、また少し上昇していますね」
窓の外では、人々が足早に駅へ向かっています。
その中に、今日も住宅ローンの返済を続けている方は、どれくらいいるでしょうか。
月々15万円。
35年間。
その継続が、私の不動産ポートフォリオを支え、
私の次の物件購入を可能にしています。
タクシーが動き出します。
私は小さく呟きます。
「35年。
あなたの子供が生まれてから、社会人になるまでの時間。
その間、毎月15万円を払い続けます。
私にとっては、ただの定期預金のようなものです。
ただ、一つだけお伝えしておきます。
次に返済の振込をする時、
または家賃を払う時、
思い出してください。
あなたの35年は、誰の未来に変換されていますか。
答える必要はありません。
ただ、感じてください。
記録は、それだけで十分です」
次回予告
次回シリーズ⑤では、
あなたが「子供の未来」と信じて差し出しているものが、 どこへ流れているのかを記録します。
教育費、塾代、習い事。
「子供のため」と信じて支払っているもの。
それは本当に、子供の未来に届いていますか。
それとも、誰かの現在に変換されているだけですか。
変換の記録は、まだ終わりません。
お楽しみに。
聖ゼンイチ
国民負担還元財団 名誉総裁
純粋資本主義を愛でる会 会長
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※重要な注釈
※本記事の数値は、住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」、総務省「住宅・土地統計調査」等の公的統計を基にした概算・推計値です。
※「不動産ポートフォリオ」「株式配当」等は、社会構造における資産と資本の流れを可視化するための比喩的表現を含みます。
※重要なのは個別の数値の正確性ではなく、「資産の変換構造」そのものです。
※これは風刺作品です。
個別の住宅購入・賃貸選択の相談は、ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。
※このアカウントは、特定の個人・政党・企業・金融機関を攻撃するものではありません。
あくまで社会構造の「資産の流れ」を記録する試みです。
参考データ:
- 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(2025年版)
- 総務省「住宅・土地統計調査」(2023-2025)
- 総務省「家計調査」
- 国税庁「民間給与実態統計調査」
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