阿久津の巣窟
無刻カイ
阿久津の巣窟
「えー……僕は…言葉は駒だと思っています。配置や出方次第で、全てが変わる。そして……」
とある大学の、広く静かな講義室。生徒達が、まるで木の上に止まっている烏のように、何段もある長い机から僕を見下ろしている。30歳で売れない作家の僕は、今日、そんな彼らの前で言葉を発する機会をいただいたのだ。僕のようななんでもない人間に、こんなに大事な仕事が舞い降りてくることは滅多にない。だから、これだけは失敗できない。未来ある若者達の前で、恥をかくわけにはいかない。なのに…
何かが…こっちを見ている。
「え…っと……後方に控えている…その…まだ名前のない言葉も……い、いつか…君達の武器になってくれるはず…」
どうしよう。声が震えてきた。頭が真っ白になりそうだ。だって…大きな黒い塊が、隣で僕を見ているのだから。その巨大な瞳で僕をじーっと見つめ、そのねじ曲がった口でニヤリと笑っている。怖い。怖くて手汗が止まらない。しかも、なんだかどんどん近づいてくるような気がする。もう、肩に奴の手が届きそうで…
「こ…言葉を上手く利用し……自分の…ものにする、ことが…文学に…関わる者の、仕事だと…僕は、思います…」
教壇に添えた手が、激しく震えている。あの黒い塊がすぐ側にいるのを、肌で感じる。本当は、今すぐにでもここから出たい。逃げ出したい。だが、まずはこの講義を無事に終わらせなくては。この講義さえ終われば、逃げられる。そう自分に言い聞かせた直後、黒い塊が僕の耳元で何かを囁いた。紙をくしゃくしゃにする音と似たような声で、何を言っているのかわかりにくかったが、心にはっきりと響いてきた。
「おナカ、スいタ」
一気に背筋が凍り、思わずヒュッと息を呑んだ。
「
冷や汗をかきながらその場で固まっていた僕を見て、反対側に立っていた教授が尋ねる。
「あ…はい」
僕はハッとし、できるだけ冷静な表情で答えた。いけない。まだ講義中だ。あと少しなんだ。ここで失敗するわけには…ああ、でももう完全に頭が空っぽだ。何を言おうとしていたのか忘れてしまった。思い出すまで、適当に繋がなければ。
「言葉は…その……時々人を傷つけてしまう…こともありますが……自分にとって、意味のある言葉なら…しまっておくのは、もったいないかと…」
その後は…なんて言えばいいのだろう。特に何も出てこない。あの黒い塊の息の音が聞こえてきて、手が僕の背中をすーっと撫でていて…もう、どうしたらいいのかわからない。
するとその時、何か聞こえたような気がした。黒い塊とは別の、もっと遠くからの音が。ぱくっ、という、まるで何かを飲み込むかのような…
そして、気づいたら黒い塊がいなくなっていた。姿が見えなくなり、気配も殆ど消えていた。僕は驚いて目を丸くした。ほんの一瞬だったのに…一体、どこへ行ったのだろう。
感覚を研ぎ澄まし、空気中に残った僅かな気のようなものを辿ってみると、上から三段目の机の、一番端の席に座っていた、とある女性に行き着いた。真っ白な短髪と、曇った灰色の瞳を持っており、焦茶色の革ジャンを着て、薄い青色のデニムスカートを履いていた、二十歳くらいの女性。彼女は頬杖をついた状態で窓の外を眺めており、よく見ると、口をもぐもぐさせていた。まるで、何かを噛んでいるかのように。ガム…ではなさそうだった。まさか……いや、まさかな…
———
なんとか講義を終え、帰宅する時間になると、僕は急ぎ足で建物を出て、しばらく外を歩き回った。できれば、あまり家には帰りたくない。あそこにはあの黒い塊のようなものが大勢住みついているから。本当に、毎日怖くて仕方がない。しかし日が暮れれば外にもたくさん現れ始めるため、出歩くのは夕方までと決めている。だが家もやはり危険だ。
どこへ行っても、あの化け物どもが付いて来る。なぜなのだろう。いくら考えても、理由がわからない。僕は奴らにとって、都合のいい獲物なのだろうか。他の人間より美味しそうに見えるのだろうか。それとも、僕が気づいていないだけで、他の人間にも同じように憑いているのだろうか。
…やっぱりやめよう。無駄に頭を使うのは疲れる。僕はため息をつきながら、飲み物とスナック菓子を買いにコンビニに寄った。
「いラっしゃイマせー」
店に足を踏み入れ、その声を聞いた瞬間、僕はピタリと固まった。レジから僕を見ていた店員の顔に、複数の黒い手が蛇のように巻きついていた。まさか…取り憑かれているのだろうか。どうりで声がおかしかったわけだ。
僕はごくりと唾を飲みながら目を逸らし、できるだけさりげなく店内を回りながら、急いで買い物をカゴに入れた。正直、何を買いに来たのかも忘れてしまいそうだったが、普通の客のように振る舞わなければ。でないと、今度こそ殺されるかもしれない。
僕はほんの少しの買い物を持って、恐る恐るレジの方へ向かった。震える足をゆっくりと前へ運び、少し俯いた状態でカゴを店員に渡した。
「袋ハいりマスか?」
ああ、まただ。店員の元の声と、まるで唸り声のような、低く汚い音が混ざっている。本当に気持ち悪い。今すぐ逃げたい。
「だ…大丈夫です」
僕は手の震えを抑えながら、買い物を一つずつエコバッグに入れた。そして店員が値段を告げると、僕は財布から現金を取り出し、カウンターの上に置いた。店員はそれを受け取り、数え、そしてレシートを用意した。その間の動きが、急いでいる僕からしたら、とても遅く見える。
(早く…早く…!)
「560円のオ返しト、レシートでごザイまス」
店員が差し出したお釣りとレシート受け取るために、ほんの少し顔を上げると、彼の顔に巻きついている手が、いくつかこちらの方へ伸びていた。まるで、僕を引き寄せたいかのように。
僕は目を丸くし、また固まりそうになるのを我慢しながら、お釣りとレシートをバッと受け取り、振り返らずに出口へ走った。
「あリがとウございまシター」
———
僕は深呼吸を繰り返しながら、早歩きで家へと向かった。もうすぐ日が暮れてしまう。急いで帰らないと、またあんな化け物に遭遇することになる。
僕は俯き、自分の影を見つめながら、はぁとため息をついた。どうして僕は、こんな毎日を送らなくてはならないのだろう。昔はそんなにひどくなかったのに。週に何度か、小型の化け物に付き纏われるだけだったのに。もう…嫌だ。こんな日々が続くのなら、いっそ、この世から消えてしまった方が楽なのではないか…
そう考えているうちに、僕の家のすぐ近くにある、地面の落書きが見えた。ピンク色のチョークで描かれた猫の絵だ。何ヶ月か前に、近所の子供が描いたものである。僕はいつも下を向いて歩いているため、家に帰る時はこの絵を目印にしている。
しかし顔を上げると、いつもと違うものが一つだけあった。僕が住んでいる古い一軒家の門扉の前に、一人の女性が立っていた。講義室で見た、あの白髪の女性だ。僕が目を丸くして立ち止まると、彼女は同時に、その曇った瞳をこちらに向けた。
「君は…」
「あ。ゲスト講師の。えーっと…」
女性は感情のこもっていない、深い霧のような声を発した。
「阿久津です。
「あー…それ、本名だったんですね。作家なのに、ペンネームとか使わないんですか?」
「いや、まあ…本名が十分特徴的だし…」
「なるほど」
「それより、こんな所で何してるんだい?どうして僕の家の前で…」
「それは…」
女性はそう言って、家の方を向いた。いつも重たい雰囲気が漂っている、監獄のような一軒家を、彼女はじっくりと観察した。
「うーん……なんか、おいしそうな匂いがしたから…ですかね」
「おいしそう…?」
すると、女性は僕の方へ一歩踏み出し、下から僕を見上げるような目で、予想外の言葉を吐いた。
「阿久津さん…幽霊、見えますよね?」
「え…っ!?」
僕は思わず、石化したかのように固まった。なぜわかった?講義室での振る舞いが不自然すぎたのだろうか。
「あ、大丈夫ですよ。私も見えるんで」
三度目の驚きにより、目を見開く。
「君も…?」
「でも、阿久津さんは特別です。あんな大物の霊まで引き寄せられるんですから」
「引き寄せる?僕が?」
「はい。阿久津さんはきっと、そういう体質なんだと思います。稀に生まれる、蜂蜜タイプといったところでしょうか」
そんな僕も知らないような話をペラペラと語る女性を見て、僕は唾を飲み、一歩後ろに下がった。
「君は一体…何者なんだ?」
女性はニヤリと微笑む。
「…
祓い屋…そんなものが、本当に存在したのか。でも、正直、この女性からも嫌な気配を感じる。ほんの少しだが、あの化け物どもと似たような空気をまとっている気がする。
「阿久津さんの家…大勢の霊が住み着いてるみたいですね。今夜、泊めてくれたら、何体か祓ってあげますよ」
「泊める…!?」
僕は言葉を失った。こんな得体の知れない女性を、家に入れるというのか?そんなこと…
「安心してください。別に変なことは何もしませんから」
「いや、そういう問題じゃなくて…」
「証拠が必要なら、講義室でのことを思い出してください。あれも私が祓ったんですよ」
やはりそうだったのか。あの黒い塊の気が、彼女の中へと消えていくのが見えたのだ。でも、それは祓うというより…
鈍井はもう少し僕の方へ近づき、さらに腰を落としてこちらを見上げた。
「毎日霊に付き纏われて、苦しんでいるんでしょう?私が阿久津さんを助けてあげます」
確かに、もう幽霊など見たくもない。家に帰る度に、温かさではなく、冷たさを感じるのも…常に後ろに何かがいるような気がするのも…眠る時に金縛りにあうのも…もう、散々だ。
「どうします?今回は特別に安くしときますよ?」
僕は拳を握りしめ、ゆっくりと深呼吸をした。
「……じゃあ…一晩だけ…」
鈍井はフフッと笑った。
「毎度でーす」
———
僕は家中の明かりをつけ、台所へ行き、お茶を淹れた。そして気まずい表情でそれを食卓へ運び、そこで無表情のまま座っている鈍井の前に置いた。
「…どうぞ」
「どーも」
「えっと…何か食べ物は…」
「あ、いいです。さっきコンビニで適当に食べてきたので」
コンビニ?僕が行ったのと同じ店の話だろうか。もしそうだとしたら…少し怖い。
僕が無言で向かいの席に座ると、鈍井はお茶を飲みながら家の中を観察した。
「玄関の外に、護符が貼ってありましたね。家の中には、貼ったりしてますか?」
「はい。トイレと寝室に」
「なるほど…典型的なミスですね」
「えっ?」
「最近、霊の種類も増えてきましてね…全ての霊にダメージを与えるには、家の中心に貼るのが一番なんです。特定の部屋にだけ貼ってしまうと、そこに住み着く霊にしか効かなくなりますから」
「そうだったんですか…」
しばらく沈黙が続いた。僕は俯いた状態で、視線を食卓の表面から鈍井へ行き来させた。
すると、鈍井は突然立ち上がり、居間の先にある寝室の方へ向かった。
「鈍井さん?」
彼女は寝室の扉を開け、数秒間、中をじっと覗いた。
「…護符、貼ってるって言いましたよね?」
「あ、はい。」
「これは…珍しいタイプの霊だ」
鈍井が顎に手を当てて呟く。僕は思わずビクッとした。
「何か…いるんですか…?」
「いますね。すごく大きいのが。でも、今は隠れてるみたいです。きっと私を恐れてるんだと思います」
「鈍井さんを?」
「私、結構強い祓い屋なんで」
僕は再び俯いた。強い祓い屋とは、一体何なのだろう。霊達に負けないくらいの妖力か何かを持っているのだろうか。しかし、やはり鈍井からは、全く違う感じがする。よくわからないが…なんだか近寄り難い。僕の家に住み着いている霊も、それを感じているのだろうか。さっきからあまり気配がしない。
「うーん…でもこいつを叩くのが一番手っ取り早そうだな…親玉みたいだし…」
そう呟いた後、鈍井はこちらを向いた。
「阿久津さん。とりあえず寝室で普通に横になっててください」
「えっ…!?いや、僕、まだ色々と支度が…」
「ふりだけでいいんで。早く霊を祓いたいでしょう?」
「…はい」
「私はここで気配を消して待機してます。阿久津さんが普段通りにしていれば、霊も安心して出てくるかもしれません。でも、その時は何もせず、ギリギリまで待ってください。私が隙を見て祓いますから」
「ギリギリって…」
「食われる直前くらいがいいですね」
僕は汗だくの手で拳を作り、それをきつく握りしめた。
「大丈夫なんでしょうか…」
「大丈夫です。必ず成功させます」
自信満々にそう言う鈍井を、僕は信じるしかなかった。だって、僕はただ霊が見えるだけの一般人で、僕より10歳も年下の大学生に頼らなくてはならないくらい、非力なのだから。もう、彼女に任せるしかない。もし万が一、作戦が失敗したら…恨むと言いたいところだが、きっと僕にそんなことはできない。霊と違って、僕の中にそんな暗い感情は存在しない。
———
僕は明かりを消し、畳の上に自分の布団を敷き、横になった。本当は怖くて仕方がなかったが、できるだけ体の震えを抑え、ただじっと待つように努力した。鈍井は現在、居間にいる。隙を見て祓ってくれると言っていたが、本当に間に合うのだろうか。僕の側で待機した方がいいのではないか。まあ、それはそれで緊張してしまうが…
すると、僕の背後の壁から、微かに音がした。正確には、壁の裏からだ。ドン、ドン、と、何かがぶつかる音がする。しかも、どうやら移動しているようだ。壁の裏に隠れていたものが、動き出している。やっぱり、鈍井が言った通りだ。僕が普段通りにしていると、姿を現す。獲物を、襲いに来る。
音が徐々に近づく。ペタペタと畳の上を這う音、獣のような唸り声。僕は息を殺し、拳を握りしめ、今にも声に出してしまいそうな恐怖を、必死で毛布の中に納めた。まだだ。まだ動いてはならない。
接近する気配の持ち主が、僕を見下ろしている気がする。まるで、獲物をじっくりと観察するかのように。微かに笑い声も聞こえる気がする。その大きな体が、僕に覆い被さろうとしている。屈みながら、ゆっくりと口を開けている。
どうしよう。鼓動が速くなって、胸が破裂してしまいそうだ。怖い。すごく怖い。このままだと食われる。さすがにもう食われてしまう。誰か。誰か助けてくれ。
(誰か、僕を…自由にしてくれ)
その時だった。今までとは比べ物にならないくらい、凄まじい気配を感じたのは。いや、感じるどころか、見てしまった。巨大で、非常に禍々しい何かが、口を開け、僕を狙っている霊に噛みつこうとするのを。その光景を見た途端、僕はヒュッと息を呑み、ビクッとしながら瞬きをした。
そして次の瞬間、何もかもが消えていた。僕を食おうとしていた霊も、それを食らおうとした謎の化け物も。部屋から全ての気配がなくなっていた。まるで、何事もなかったかのように。
僕はゆっくりと起き上がり、壁をただ呆然と見つめた。
「もう大丈夫です」
再びビクッとして振り向くと、そこに鈍井が立っていた。声をかけられるまで全く気がつかなかった。一体いつの間に部屋に入ったのだろう。
「いやぁ、間一髪でしたね。こいつもかなり大物の怨霊ですから、完全に仕留めるのに少し苦労しましたよ」
彼女はそう言って、舌なめずりをした。その行為を見た瞬間、僕の中で全てが合致した。そして、一瞬で背筋が凍った。
「…君なのか?」
「えっ?」
「講義室の時も感じたけど…今ので確信した。突然現れて…霊に…食らいつこうとした、あの大きな何かは…君なのか…?」
鈍井は数秒間、驚いた表情でじっと僕を見つめ、そして、ニヤリと笑った。
「そっかぁ…見えちゃったんですね。やっぱり阿久津さんは特別です。今まで誰も見抜いたことないんですよ」
僕は唾をごくりと飲みながら立ち上がり、ゆっくりと後ずさった。
「もう一度聞く……君は一体、何者なんだ?」
鈍井はクスクスと笑う。
「私は…怨霊を食らい、その怨霊と一体化してしまった、ただの人間です」
「人…間…?」
「あの怨霊を食べてから、体の構造が変わってしまいましてね。怨霊を食べないと死ぬ体質になっちゃったんです。完全に一体化した以上、定期的に妖力を取り込み、私の中にある呪いの塊を維持し続けなければならない。でないと、体が崩壊してしまう。まあ、半分化け物みたいなものですよ」
怨霊と一体化…そんなことがあり得るのか?そもそも、霊は捕食できるものなのか?というか、もしそれが本当なら、なぜ彼女は今まで正気を保っていられた?もうわけがわからない。頭が追いつかない。
「そこで、阿久津さんに頼みたいことがあるんです」
「僕に…?」
まさか、口止めされるのか?それとも呪われるのか?
「こんなに上質な呪いが集まる場所は初めて見ました。ここにいれば、しばらく食事に困ることはなさそうです。なので…」
鈍井は僕に近づき、再び腰を落として僕を下から見上げた。
「阿久津さんに付き纏う霊は、私が全部食べますから…この家にいさせてください」
「え…っ!?」
「悪い話じゃないと思いますよ。阿久津さんは霊の心配をせずに生活できるし、私は怨霊をお腹いっぱい食べられる。ウィンウィンじゃないですか」
「いや…だって…」
僕はさらに後ろに下がり、なんとか誤魔化して断る方法を探した。この女性を家にいさせてはいけない気がする。なんだか…危ない気配を感じる。霊とは別の意味で怖い。
「阿久津さん…」
すると鈍井は、両手で僕の手を握った。汗だくで、ぶるぶる震えている手を。
「怖がる必要はありませんよ。私、人間に危害を加えたりしませんから。ただここにいさせてくれるだけでいいんです。置き物だと思ってくれて構わないんで」
「いや…僕は…」
「私といれば、霊に怯えずに生きていけますよ。どこへ行っても狙われて、ビクビクして…辛いでしょう?私に任せてください。阿久津さんが普通の日常を味わえるように、頑張りますから」
僕はその場で深く考えた。実際、鈍井の言っていることは、一つも間違っていない。僕は毎日霊に怯えていて、消えたくなるくらい辛くて…ずっと、誰かに助けを求めていた。そんな経験を、もうしなくていいのなら…周りの人間のように、普通の日常を味わえるのなら……
「…わかった」
気づいたら、その言葉が口からこぼれていた。
鈍井は嬉しそうに微笑む。
「交渉成立ですね」
これが正しい選択なのかわからない。でも、普通に生きられるということが、あまりにも魅力的で…僕は、焦がれてしまった。心の底から、欲してしまった。その願いのせいで、僕は謎に包まれたこの女性と、奇妙な共同生活をしなくてはならない。それが一体どんな結果をもたらすのか、誰にもわからない。
僕はもう…わからないんだ。
阿久津の巣窟 無刻カイ @KaiMukoku
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