イマギカ・クロニクル

EDA

--プロローグ-- インストール

 根室恒平ねむろ こうへいは自室のベッドに寝ころび、特に目的もないままにスマートフォンでアプリストアを閲覧していた。

 普段は友人にすすめられたアプリゲームをたしなむぐらいであるので、自らアプリストアを漁った記憶はあまりない。なんとなくの、気まぐれの行為であった。


 そこで目にとまったのが、『イマギカ』というアプリゲームのアイコンである。

 恒平はそのアイコンをタップして、見出し文句をぼんやりと読み下した。


『世界初! 超体感型のアクションRPG! 夢のような没入感!』


 いかにもありきたりの定型文である。

 しかし説明文にざっと目を通してみると、VRゴーグルを使用するわけでもないらしい。その割には、ずいぶん大仰な見出し文句であった。


(アクションRPGか……そんなに得意なジャンルでもないんだよな)


 そんな風に考えながら、恒平はそのアプリゲームをインストールしてみた。

 しかし、画面上に現れたアイコンをタップしても起動しない。それで恒平は興味を失うと同時に、猛烈な睡魔に見舞われた。


(もう深夜0時か。今日は大人しく寝ておこう)


 すでに寝支度を整えていた恒平は目覚ましアラームをオンにしてから毛布をひっかぶり、リモコンで寝室の照明を落とす。


 恒平の意識は、すみやかに暗転し――

 そうして気づくと、恒平は《イマギカ》における『はじまりの広場』で横たわっていたのだった。

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