サンタさん
光雨
サンタさん
いつからだろう
クリスマスに白くないため息を吐くようになったのは
いつからだろう
胸が躍るのを止めて、叫び出したのは
あれほど高揚しながら目を覚ました朝を
他に知らない
夢や希望が形になっている朝
一度も会ったことがない筈なのに
何故か、私のために。
それでも気づけば
どこかへ行ってしまった
父さんは連絡先を聞いてなかった
母さんは過去を懐かしんだ
私は笑って誤魔化した
いつからだろう
朝を遠ざけるために眠らなくなったのは
いつからだろう
プレゼントに人を求めるようになったのは
あの朝に貰ったおもちゃ
もうずっと部屋の隅で私を眺めているだけ
明日壊れても
きっと気付かない、悲しくない
思い出の数だけ、思い出を忘れる
気づけば
どこかへ行ってしまった
父さんと母さんが買ってくれた
欲しかったもの、買ってくれた
私はそれを凪いでしまった
クリスマスの夜
どこかにいるあなたに
あの朝の心を届けてほしい
“子供のときにだけ、あなたに訪れる”
そう、あなたはきっと
”トトロ”のようで。
私はもう、子供じゃない。
引用””
スタジオジブリ となりのトトロ
サンタさん 光雨 @HikaRi_aMe
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