鬱憤溜まっている人は、湿布を用意して最終電車一本前に

 主人公は「すみません」が口癖のOLさんだ。
 仕事のミスをなすりつける係長、イヤミばかりの先輩お局、望みもしないお見合いを押し付けてくる母親……。
 前半は主人公の日常に、胸がぎゅっと押さえつけられるような嫌悪さえ覚える。
 だがこれこそが、後半のカタルシスを得るための材料なのだ。

 疲れ切った主人公が、最終電車一本前の電車に乗り込むと、彼女をさいなむ連中の声が……!
 最初は怯え縮こまる彼女の中で、何かがキレた。
 そこからの行動が、実にすがすがしい。
 さらにすっきりとした気分で生まれ変わった彼女の言動も実に爽快だ。
 これからも彼女は拳のじんわりとした痛みを思い出し、理不尽を退けるだろうという希望が持てる。実に読後感最高の物語だ。