失恋の痛みと「ふつう」に押し潰されてきた語り手(作者様?)の心を海で包み直す幻想譚、なのかなと感じました。
現代仮名遣いに現実の息苦しさや恐怖を担わせ、
旧仮名遣いを時間や常識を超えた母胎的な言語として作用させ、
結果的に、それが読者を揺蕩うようなリズム感へと誘うことになっていると思います。
その文体の差異は、救済が現実の外から訪れること、そしてそれが同時に危うい共依存でもあることを鮮明にさせるように働いているような気がいたしました。
甘美で非常に官能的、かつ選び取った世界から引き返せない切実さが恐怖として存在する不思議な印象の物語であると感じました。