第十六話:独りよがり
何とか、安い宿を見つけ、しばらくそこに身を寄せることにした。とはいえ金銭的には、今のところ3日程しかもたない。これは何としても、お金を稼がねば。背に腹はかえられぬ、とりあえず新しく練習しているダンスも、披露することにした。
『まあ、何でもやってみるしかないから。なんでも挑戦よ。』
「うん。今は、とにかくお金が必要だもんね。」
お金を稼ぐ。これが当面の目標。
この目標を達成するために、今はひたすら、広場でのショーと練習に全力を注ぐしかない。
ショーが終わり、とりあえず安いパンを買って宿へ戻る。パンを食べ終わるとすぐに練習に取り掛かる。
「違う。もっと下から程よく布を上げて欲しいの。」
『こう?』
「もう少し強めに。ターンして、両手を上げたら、ふわっと。」
『これくらい?』
「まあ、いい感じ。とにかく見栄えよくして、いい感じに見せられたら、お金ももう少し貰えると思うの。じゃあ次、ジャンプの時の裾の広がりの練習。」
『......うん。』
「なに?どうかしたの?」
『そんな付け焼き刃みたいな、とりあえずのパフォーマンスでいいの?』
「しょうがないよ。今はお金ないんだから。ね?とりあえず、見た目さえ良くしとけばなんとかなるって。」
『そう、なのかな。』
「そうそう、じゃあ次やるよ。」
シェシェの声色が良くないとは思いつつ、お金の事しか頭にない私は、そのことを大して気に留めなかった。
見栄えさえ良ければ、表面的にさえできていれば、それだけでいいと、本気で思った。
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