第七話:精霊術の歴史
いつもより重い鞄を持って教会へ向かう。
精霊士のことをもう少し聞いてみようと思うと、いつもより早足になった。
「こんにちは!」
「こんにちはマリー。今日はなんだか元気ですね。」
いつものように、神父様は優しい笑顔で振り返る。
「そうですか?でも確かに。聞きたいことが出来たからかもしれません。」
「1時前に来るなんて、魔法の勉強を始めたばかりの頃を思い出します。」
「すみません。1時になるまで待ってますね。」
「いいえ、大丈夫ですよ。中へ入ってください。」
「実は今日図書館に行ってきたんですけど、借りてきた本の題名に『深緑の賢者』って書いてあったんです。この本なんですけど、この深緑の賢者って何ですか?前に読んだ本にはこんな賢者は載ってませんでした。」
「マリーが読んだ本は教会の古い本で、おそらくその時代に深緑の賢者は存在しなかったのでしょう。」
「なぜですか?」
「深緑の賢者は、精霊術を使う魔術師のことです。精霊について話すために、少し歴史の話をしましょう。マリーは三界大戦を知っていますか?」
「はい。まだ世界が三界しかなかった頃の話です。原初の時代ともいわれてますよね?」
「そうです、その頃中間界は、つまり私たちのいる地上には今よりも多くの種族が暮らしていたといわれています。その中に精霊もいたとされています。」
「一緒に住んでたってことですか?」
「はい。その頃は今の人間やエルフ、ドワーフなどが一緒に地上にいるのと同じように、精霊もいたのです。」
「じゃあなんでいなくなったんですか?それと、精霊自身が力を使うのではなく、なぜ精霊士がいるのですか?」
「それは大戦のあと、それぞれの種族がより住みやすい場所を、それぞれで作ろうということになり、精霊は精霊界に移ったからです。そしてもう一つの質問ですが、なぜ精霊自身が力を使わないのか。精霊は自然そのものです。人間はその自然の力を借りて使っています。私も専門家ではないのでこれ以上のことはわかりません。」
「そうなんですね。ではなぜ精霊術があるんですか?この世界にいないのに。」
「確かに精霊は精霊界に行きました。しかし、世界が違っても、天使や魔人も地上で生活しているではありませんか。いわば精霊界は精霊の故郷のようなものです。」
「なんとなくわかりました。」
「精霊が精霊界に行ったからと言って、完全につながりがなくなったというわけではないのです。」
「これが基本的な歴史です。どうですかここまでの話は。」
「はい大丈夫です。それで、精霊術はそんなに昔からあるのにどうして深緑の賢者はいなかったんですか?」
「先ほど、精霊が精霊界に行ったと言いましたね。この時、地上から精霊がほとんどいなくなってしまったのです。そして精霊の存在を感じられる人間も減りました。そのせいで精霊術は衰退したのです。しかし、繋がりが無くなってしまったわけではないので、当時の人々は精霊との新たな繋がり方を模索し続けました。その甲斐があり、およそ100年前に初めての深緑の賢者が誕生したのです。」
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