第二話:風を感じて

しばらく踊っていると、手足の先に風を感じた。


思わず止まって、自分の手を見つめる。


「なに?」


眉間にしわを寄せながら、ひたすら自分の手を見つめた。

手のひらを見たり、甲を見たり。手をくるくるさせる。


「ねえ。」


声が聞こえはっと我に返った。

そうだ私この人と一緒に踊ってたんだ。すっかり忘れていた。


「ごめんなさい、なんか手足が変なの」

「そうなの?大丈夫?」

「うん。たぶん。痛いとかじゃなくて、なんか変なだけだから。」

「痛くないのに、変なの?」

「言葉にはできないんだけど、なんか.....って、え?」


話せてる...?。さっきまで、ほとんど聞こえなかったのに。私今、この人と意思疎通出来てる。なんで?

また私は固まった。


「ねえ。本当に大丈夫?」


また、声をかけられて我に返った。


「大丈夫。それより、さっきよりも、あなたの声がよく聞こえるんだけど。あなたのおかげ?」

「私は何もしてないよ。あなたが精霊士なんじゃないの?」

「精霊士?」

「私たちと話せる人間。人間の世界ではそう呼ぶんでしょ。」

「そんな人間がいるんだ。」

「そう。で、どう?今日はもう踊らない?」

「精霊士って何かな。」

「知らない。それよりもう踊らないの?」


どうやら踊ること以外興味がないみたい。とはいえ今日はもう踊る気分じゃないし。

とにかく、今私は、自分に何が起きているのかが気になって仕方ない。


「ごめん、今日はこれでおしまい。」

「わかった、また来るね」


ふわっ。


柔らかい風が吹いた。それと同時に、そこにその人がもういないのがなんとなく分かった。


「精霊士....。」


気になると、気になるのをやめられない。


「神父様のところに行こう」


そう思った私は、一度家の中に戻った。

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