ふわふわうさぎ

第1話 時雨

           ●

 僕は雨に濡れると透明になってしまう。

手、制服、ネクタイまでもが僕の判定で、すぐに透明になる。

ちなみに傘は使えるが、特別な傘ではないと透明の効果は外せない。

今日はものすごい時雨だ。

僕は完全なる陰キャラなので、もちろん彼女などいない。

いつものように透明になりながら、道を歩き始めた。

少し経つと、同じく陰キャラのツインテール女子がこっちを見ている。

「光ってる…もしかして」


…え?


自分が光っているなんてこと、ありえない。

そもそも透明だから、見えるはずがない。

「あなたも、透明になることがあるんですか?」

「…な、なぜわかるんですか」

「私は日光を受けると透明になってしまうんです。それでなぜか、透明になる人が光って見えるんです、透明な理由を教えてください」

「……雨に濡れると透明になるからです」

言ってしまった。

「そうなんですか…傘はないんですか?」

「傘も高級で特別のものでないと意味がなくて…どこに売っているかもわからないし…」

「そうですか・・・」

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