混沌の世紀
@498999
第一回 習近平暗殺?
テラ世紀,2026年夏、中華人民共和国、習近平国家主席はフィリピン共和国フェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア大統領の招待を受け、 マニラ首都圏、マラカニアン宮殿にいた。マラカニアン宮殿はマニラ市サン・ミゲル地区にテラ世紀、1750年スペイン人貴族ルイス・ロチャの夏の住まいとして建てられた。テラ世紀、1825年スペイン政府に買収されスペイン領フィリピンの総督の別邸となった。テラ世紀、1863年、イントラムロスの総督府が地震で倒壊したため、マラカニアン宮殿が正式な官邸となり大幅に増築された。
テラ世紀、2019年12月8日、中国、武漢を発生源とする新型コロナウイルスは後に、COVID-19と命名された。その後、パンデミックに至り、惑星テラの各国を震え上がらせたのだった。更に,ウイルスは変異を繰り返し、その「感染の波」は、すでに「第15波」に達しており、テラ世紀、2026年春、マルコス大統領は新型コロナウイルスの変異型「KP.4」に感染し重症化した。 これに中国が手を差し伸べ、マルコス大統領は中国へ搬送された。ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の任期中、フィリピンは様々な問題で中国との関係と協力を改善し、中国とのより強固で安定した関係を築き、中国とその他のASEAN諸国との行動規範を成功させた。中国はフィリピンの最大の貿易相手国であった。しかし、フィリピン人の中国に対する平均的な信頼感は否定的である。ボンボン・マルコス大統領の任期中、南シナ海紛争をめぐる緊張の高まりにより関係は悪化し、最終的にフィリピンはテラ世紀、2023年に一帯一路構想から撤退することを表明し南シナ海紛争がさらに激化していた。そのさなかのマルコス大統領の中国への緊急搬送であった。まさしく青天の霹靂であり驚き以外何物でもなかった。誰しもに再起は不可能と思われていた、トップニュースからは外れ、やがて、ニュース報道からさえも忘れ去られていった。
それから2か月後、マルコス大統領は、生還した。マルコス大統領は、声明を出し中国の医療技術を絶賛し、習近平国家主席に謝意を伝えた。それが今回の習近平国家主席の自国招待へと繋がっていったのだ
マルコス大統領の生還は世界中から驚きを持って迎えられた。しかし、各国首脳はそれ以上に困惑し危惧していた。これでまた一帯一路が息を吹き返し戦狼外交も更に強力に推し進められていくのではないかと、•••
ちなみに戦狼外交(せんろう がいこう、英:Wolf warrior diplomacy)とは、テラ世紀、21世紀に中国の外交官が採用したとされる攻撃的な外交スタイルのことである。さらに一帯一路とは正式名称はシルクロード経済ベルトとテラ世紀、21世紀海洋シルクロードと命名され、習近平中国共産党中央委員会総書記がテラ世紀、2013年9月7日、カザフスタン共和国ナザルバエフ大学における演説で「シルクロード経済ベルト」構築を提案したことに始まり翌年のAPEC首脳会議で中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「テラ世紀、21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、インフラストラクチャーの整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画であると、習近平国家主席は提唱した。
一見、参加する各国にとってはウィンウィン(WIN-WIN)の公平なシステムに見せかけてはいるが、不平等どころか一度はまり込むと全てを失うという中華思想に根付いた習近平の大謀略であり中華人民共和国が推進する、同国とヨーロッパにかけての広域経済圏構想である。
そんな中、習近平国家主席は満面の笑みで、フィリピン入りをしたのだ、そしてその様子は異例のライブ映像で世界中に配信された。
各国首脳は習近平国家主席のしたたかさに振り回されていた。そんな中でアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプは対中国追加制裁について協議を開始していた。
テラ世紀、2024年11月5日、アメリカ合衆国は、各州の選挙人選挙で312対226の大差でドナルド・トランプがジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニアを破り第47代大統領に選出された。
そんな状況下を背景に現在進めているクリーンネットワーク計画の更なる促進を図れるか検討を開始させた。
クリーンネットワーク計画とは中国政府が中国企業を通してアメリカの個人情報や企業機密を盗み出していると警戒し、アメリカ国内から中国製アプリを排除しアメリカの貴重ビックデーターを中国政府の強奪よりブロックすることを目的に計画されたものである。
更にCIAは惑星テラ各国の情報収集により当初、把握していた以上に中国政府のビックデーターの盗用管理が進んでおり中国政府による人民解放軍への軍事転用が惑星テラ各国の最大懸念となりつつあった。これまで中国政府及び人民解放軍による、なりふり構わぬハッキング攻撃や一見、公平性を思わせるウミガメ族の不正活用による多額被害をはるかにしのぐ損害額になっていた。
ウミガメ族とは海外留学から帰国した中国人のことを指すが、中国政府及び人民解放軍は学生だけではなく人民解放軍兵士や中国政府職員の姓名、身分を偽って海外留学させ惑星テラの各国の最新技術や最新情報を盗み出していた。
習近平国家主席とマルコス大統領は首脳会談を終え共同声明に臨んだ。
マルコス大統領は、『新型コロナウイルスの治療に関し中華人民共和国の医療技術者の諸氏には非常に感謝しており最高の医療技術で持って再起出来た。習近平国家主席には格別のご高配を賜り感謝に堪えない。今後は国家主席の提唱している一帯一路を出来る限り、協力していく』と謝意を述べた。
ここで習近平国家主席とマルコス大統領は、いったん握手をした。
次に習近平国家主席が『大統領のお役に立てて光栄です。共に一帯一路を進めていきましょう。中華人民共和国は、フィリピン共和国を全面的にバックアップする積りです。新型コロナウイルスCOVID-19の不活化ワクチン克爾来福を1億人2回分供与することを確約します』と続けた。
このライブ映像に各国首脳は特にトランプ大統領は怒りをあらわにし、フィリピンへの制裁も検討するよう指示した。
この時、日本でも時の高市早苗政権が戸惑っていた。マルコス大統領に振り回されながらどうにか進めてきた南北通勤鉄道延伸計画(第二期)及び南北通勤鉄道計画(マロロス-ツツバン)(第二期)は今や、風前の灯火と思われた。
思えば日本人は戦術を得意とする人物は数多くいたが戦略を得意とする人物は少なく、むしろ苦手に属する人が多いのは国民性によるものかもしれない。
有名な戦術としてテラ世紀、1905年東郷平八郎連合艦隊司令長官がロシア帝国海軍バルチック艦隊を丁字戦法により撃破したことは驚きをもって、今も世界の軍事関係者に語り継がれている。
一方、優れた戦略として、テラ世紀1941年、山本五十六海軍大将の真珠湾攻撃がある。
山本五十六はアメリカに駐在大使として長期滞在経験を持ち、アメリカの工業力は日本をはるかに凌駕していることを認識しており先制攻撃によってのみ敵の海軍力の中枢に大打撃を与え、それ以上、日本と戦う気力を失わせることが、唯一の取りうる道だと確信していた。
最大の攻撃目標は米空母であった。しかし、米空母、エンタープライズ、レキシントン、サラトガは真珠湾に停泊していなかった。
これが、真珠湾攻撃の戦略的失敗と言われている。
この戦略的失敗は、アメリカ合衆国の戦略的陰謀だとさえ言われている。
『アメリカは真珠湾攻撃を事前に察知していた』『アメリカが、わざと日本の攻撃を、誘い出した』等々
戦後、歴史研究者により『ハル・ノート』『マッカラム覚書』等により、したたかなアメリカ合衆国の戦略的陰謀が明らかにされつつある。・・・
各国首脳がライブ映像に揺れる中、マラカニアン宮殿ではマルコス大統領と習近平国家主席が固い握手とハグを重ねていた。
新型コロナウイルスCOVID-19を無視するような異様な光景でもあった。
このあと晩餐会へと移行しようとしていた
次の瞬間、パーンと乾いた音が各国メディアのフラッシュ音に混じって流れた。
その瞬間、その場は凍り付いた。習近平国家主席の側頭部より鮮血が噴出しマルコス大統領の顔に飛び散った。飛散した習近平国家主席の鮮血はマルコス大統領の顔だけに留まらずマルコス大統領の礼服並びにテーブルやグラスにまで飛散していた。
習近平国家主席は一瞬息をのんだかのように『ウムッ』と言う声とも音とも取れる小さな発声と共に静かにその場に崩れ落ちた。
〈つづく〉
混沌の世紀 @498999
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