愛しい姫君は薔薇のように美しく棘があるような性格~溺愛カップル~
一ノ瀬 彩音
第1話 幼馴染
幼馴染の薔薇子の執事になったのでした。
それが私の運命だと思って受け入れているのです。
薔薇子は小さい頃から高嶺の花で、今でもそうだが、私はそんな彼女を支えることができる立場にいることが嬉しかった。
彼女は容姿端麗、成績優秀、そして誰もが憧れる完璧な存在です。
「大和、お茶を淹れてちょうだい」
彼女の部屋に入ると、いつものように微笑みながら、私に命令するのです。
その声に応えて、丁寧にお茶を用意するのでした。
「どうぞ、お嬢様」
私の言葉に満足げに頷き、薔薇子はティーカップを手に取るのです。
その仕草一つひとつが優雅で、思わず見惚れてしまう。
彼女のために働くことができて、本当に幸せだと感じる瞬間だった。
しかし、最近、その幸福感の中に少しの不安を感じることが増えた。
それは、彼女との距離感についてです。
時折、薔薇子の目がどこか寂しげに見えることがあるのです。
普段は凛としている彼女だが、ふとした瞬間に見せるその表情が気になってしまう。
(お嬢様は、何か悩みでもあるのでしょうか?)
そんなことを考えながら、彼女のそばで控えていると、突然声をかけられた。
「ねぇ、大和」
声に驚いて顔を上げると、薔薇子は私を見つめていた。
その瞳は、まるで私の心を見透かしているようで、ドキリとするのです。
「何でしょうか、お嬢様?」
緊張しながら答えると、薔薇子は少しだけ微笑んだ。
その笑顔がとても美しくて、胸が高鳴るのです。
「あなたはどうして、わたくしに仕えるのですか?」
突然の質問に戸惑う。
しかし、すぐに心からの答えを返した。
「私はお嬢様をお守りしたいと思っています。そして……あなたのお傍にずっといたいのです」
正直な気持ちを伝えると、薔薇子はしばらく黙っていた。
やがて、ゆっくりと口を開いた。
「ありがとう、大和」
その言葉には、どこか寂しさが滲んでいるように感じられた。
その瞳に見つめられると、なぜか落ち着かない気持ちになったのです。
まるで心の奥底まで見透かされているような錯覚に陥るのでした。
美しい瞳の中に、深い闇のようなものが見える気がしたのです。
その瞬間、背筋に冷たいものが走ったような気がしたのです。
しかし、それでもなお彼女から目を離せない自分がいたのです。
そんな私の様子を見て、彼女は妖しく微笑みました。
そして次の瞬間、私の手を取りながら耳元で囁くように言ったのです……。
『ずっと一緒にいましょうね』
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍るほどの恐怖を感じてしまったのですが、それと同時に喜びや高揚感にも似た感情が込み上げてきてしまう自分がいました。
私は薔薇子の事を愛していて、これからもその想いが変わらないと誓ったのです。
私たちはお互いを求め合っている関係なのであり、決して離れることなどできないという確信がありました。
だからこそ、私は薔薇子のことを信じることができていたし、また信頼してもらえていたとも思っています。
しかし、薔薇子は違っていたようでした。
いつしか彼女は、私に対して独占欲を持つようになったのでした。
そして、それを隠そうともしなくなったのです。
そんな薔薇子の変化に戸惑いつつも、私は何も言いませんでした。
むしろ、その変化を受け入れたと言えるかもしれません。
だって、私も同じ気持ちだったからです。
私達は恋人でありながら主従でもあるという、奇妙な関係を築き上げていったのです。
「雪、キスして下さるかしら?」
薔薇子はベッドの上で横になりながらそう言うのでした。
私は黙ってそれに従うことにしました。
唇を重ね合わせると、甘い吐息が漏れ出てきます。
その感覚はとても心地よく、いつまでも続けていたいと思うほどです。
やがて、名残惜しく思いながらも唇を離すと、薔薇子は少し寂しそうな表情を見せました。
そんな彼女の頬に優しく触れながら、私は微笑んで言ったのです。
「お嬢様、愛しています」
その言葉に安心したのか、彼女はゆっくりと目を閉じました。
そして、そのまま眠りに落ちていったのでした。
今日は休日。
薔薇子に呼び出され、私は彼女の部屋へ向かいました。
そこで目にしたのは、ベッドの上で眠る薔薇子の姿です。
その姿を見た瞬間、鼓動が激しくなり、息が苦しくなっていきます。
興奮しているのか、それとも恐怖を感じているのか分かりませんでしたが、ただ一つだけ分かっていることがありました。
それは彼女への愛情だということです。
ゆっくりと近づき、その美しい寝顔を見つめます。
そうすると突然、彼女は目を開きました。
そして私を見ると、妖艶な笑みを浮かべて言ったのです。
「ねぇ、大和……わたくしを抱いてくださいませんか?」
その言葉を聞いた瞬間、私の理性は完全に吹き飛んでしまいました。
彼女を押し倒し、激しく唇を奪います。
「んっ……ふぅ……ちゅぱっ」
唾液が混ざり合う音が響き渡ります。
「ぷはぁっ……大和ったら、積極的ですのね……」
そう言いながらも、どこか嬉しそうな表情を浮かべている薔薇子。
そんな彼女を見ているうちに、ますます興奮してしまいました。
「もっとキスしましょう」
そう言って、今度は彼女の方から舌を絡ませてきました。
お互いの唾液を交換し合うような激しい口づけを交わし、頭がボーッとしてくるほど陶酔してしまいます。
「お嬢様」
思わず名前を呼んでしまいそうになりましたが、何とか堪えました。
もし呼んでしまえば、きっと歯止めが効かなくなってしまうでしょうから。
「大和、お願いがあります。わたくしに尽くしてください」
「もちろんです。私はお嬢様のものですよ」
そう答えると、薔薇子は満足そうに微笑みました。
「では、まずは服を脱ぎましょうか」
薔薇子は自分の服に手をかけると、ゆっくりとボタンを外していく。
その様子を見ているだけで、ドキドキしてしまうのでした。
やがて上着を脱ぎ終えた彼女は、下着姿になりました。
その姿を見て、さらに心臓の鼓動が激しくなります。
白い肌が眩しく見え、思わず見入ってしまいそうになります。
そんな私の視線に気づいたのか、薔薇子は恥ずかしそうに身を捩りました。
その仕草さえ可愛くて、愛おしく感じてしまいます。
「恥ずかしいのであまり見ないで頂けると嬉しいのですが…………」
薔薇子の可愛らしい反応に、私の興奮はますます高まっていきます。
もう我慢できません。
「申し訳ございません、お嬢様! でも、どうしても貴女の全てを知りたいのです!」
私は必死になって訴えかけたのです。
「分かりましたわ。貴方になら、全てを捧げるつもりですもの……」
薔薇子はそう言うと、静かに目を閉じました。
それはまるで、これから起こることを受け入れようとしているかのようでした。
そんな彼女の姿を見て、私は激しく興奮してしまいました。
この美しい女性を、自分のものにできると思うと、抑えきれない衝動に駆られるのです。
「ああ、素敵です! お嬢様!」
そう叫ぶと同時に、私は再び彼女に覆い被さっていくのでした。
こうして、私達の禁断の関係が始まったのです。
それ以来、私達は何度も身体を重ねてきたのですが、未だに飽きることはありませんでした。
むしろ、日に日に愛情が深まっていく一方なのです。
「ねえ、大和? わたくしのこと好き?」
薔薇子はそう聞いてきた。
もちろん好きに決まっているのです。
世界中の誰よりも愛していると言ってもいいのです。
それでも敢えて言葉にするなら……。
「お慕いしております、お嬢様」
私がそう答えると、彼女はニコッと笑って言ったのです。
「わたくしも同じ気持ちですよ」
そう言われると、なんだか照れ臭くなってきたのでした。
同時に嬉しさがこみ上げてくるのがわかるのです。
こんなにも幸せな気持ちになれるなんて、夢にも思わなかったのです。
これも全部薔薇子のお陰なのだと思った瞬間、胸がキュンとなりました。
そんなことを考えているうちに、薔薇子が私に抱きついてきました。
いきなりだったので少し驚いたのですが、それ以上に嬉しさの方が勝っていました。
そして、そのまま強く抱きしめ返すのです。
そうすると彼女は甘えるような声で言うのです。
「大和、もっと撫でてください」
私は言われた通りに彼女の頭を優しく撫でてあげました。
サラサラとした髪の感触を感じながら、ゆっくりと手を動かしていきます。
そうすると彼女は、気持ち良さそうな表情を浮かべてくれるので嬉しくなります。
そうして暫くの間撫で続けていたのですが、不意に彼女が顔を上げて見つめてきました。
何か言いたげな様子だったので聞いてみることにします。
「ふふっ、私とデートでも致しますか? 大和」
彼女は悪戯っぽく笑いました。
どうやら、私が思っている以上に積極的な性格のようです。
そんな彼女を見ていると、余計に愛しさがこみ上げてきてしまいます。
なので私は迷わず了承しました。
そして同時に嬉しさが込み上げてきてしまうのです。
そんな私の様子を察してか、彼女もまた嬉しそうに微笑んでくれるのでした。
その笑顔を見ているだけで幸せな気分になれるのですから不思議です。
「では行きましょうか」
と言って手を差し出すと、彼女はその手を取りながら答えます。
そんな彼女の姿を見ただけでドキドキしてしまいそうになるのでした。
そのまま部屋を出て、街中へと向かいます。
行き先は特に決めていないのですが、とりあえず歩くことにしました。
そうすると突然、彼女が腕を組んできたのです。
突然のことで驚きましたが、同時に嬉しさが込み上げてきました。
そのまましばらく歩き続けた後、休憩するために公園に立ち寄ることにしました。
ベンチに座ると、彼女は肩に寄り掛かりながら話しかけてきました。
「ねぇ、大和。これからも一緒にいてくださるかしら?」
その問い掛けに即答できなかった自分自身が腹立たしかった。
しかし、すぐに否定しようとしました。
けれども、そんな必要は無いのだとすぐにわかりました。
だって、答えなんて最初から決まり切っているのですから。
「勿論ですとも! 永遠にお嬢様の側に居させていただきますよ!」
力強く宣言するように言うと、彼女は満面の笑みを浮かべてくれました。
そんな彼女が愛おしくて仕方ありませんでした。
愛しい姫君は薔薇のように美しく棘があるような性格~溺愛カップル~ 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019
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