形から漢字へ

なかむら恵美

第1話





声優。

かなり子供の時。5、6歳の頃から、わたしは興味を持っていた。

勿論、「声優」なんて言葉自体も知らないし、世間的にまだまだ地位が低かった。

カラーテレビマンガ。

今でいうアニメーションばかりを見ている子供であったが、最後に声の出演者。

誰それ何々、誰それ何々、と字幕が出る。

年齢からして当然、漢字が読めない。

けど、形。形なら知っている。知っている形と、字幕に出ている漢字を結び合わせてみる。印象に残る。

そんなのを繰り返してゆくうちに、何となく覚えていった。


野沢雅子さんだったら「沢」と「子」。白石冬美さんだったら「白」「石」、「冬」といったふうに。

永井一郎さんや、山本圭子さん、北村弘一さんは、割と一気に覚えられた。ひとつ、ひとつが簡単な漢字なので(失礼)、苦労しなかったように思う。


学校へ行くようになり、色々な漢字の読み方や書き方を習うと同時に、増々、方面に傾いた。

耳の聞こえもいいので、コマーシャルのナレーター声から、外国製の映画やドラマまでのボイス~声の主、担当者~を当てられた。

余談だが、故・増山さん。

増山江威子さんは、初めて意識した、5文字表記の声優だ。幼少時に見ていたアニメ「アンデルセン物語」の、字幕に「5つの名前の人がいる」。

凄いなぁ、感じた。


小学校の高学年から、中学一年の夏ぐらいに掛け、やってきたのが第一次声優

ブーム。

「ヤマト」に出ていた、麻上洋子さんが「自分の世代が、アニメを見て声優になりたいと思った、最初でしょうね」と言っているが、わたしの場合。

いつの間にか漢字を覚えるようになっていたのが、アニメでしたね。



○形(かたち)そは 知らず導き 声主(こえぬし)の

                興味へ出会い 経つも幾年(いくとし)

                        <短歌 なかむら>


                               <了>

          

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