12/26 緊による禁断戦争
禁断とは厳重に禁止された理である。
だがそれを犯す者だけに、付加価値というステータスが付与されるのだ。
故に彼女は知るべきであった。
緊による禁断戦争とは緊張を打破する戦争すなわち、
――――己の境界の線を打ち破る者―――であることだと。
「遠距離恋愛って私は経験したことはないんですが、10代の頃に一度そのことについて考えてみたことはあるのです。まあ、これは恋について考えてみた話なんですけど...。」
彼女はおもむろに語り始めた。ここはとある喫茶店。喫茶店名は「Barバーバー」喫茶店なのか、Barなのか、理髪店なのか最早、名だけでは判別できないような店であった。その語り相手は頷くでもなく、相槌をうつでもなく、ただ話を聞いていた。店内には、アナログ時計の針の音が響いていた。他に誰も客がいない店。
「自分は、ある問いを立てました。次のうち、どれが一番不幸な人間なんだろうか」
1.好きな人と恋人になれない恋
2.好きな人にフラれる恋
3.好きな人がいないという恋
「当時の自分は3だと思っていましたし、今も変わりません」
「この3つの問いに縛られているというのも侵しな話ですよね。問いを立てたのは自分なんですが、自分で自分を縛っておいて。別に、初対面のあなたに性癖を晒しているわけじゃないんです。そんな愚かな人物に私が、見えますか?」
沈黙が答えなのか、時計の針が進む音しか聞こえない。
「まさか。あのR15指定の読み物を自分がそういう気持ちで読んでいると思われるのは心外心外・・・これはトラウマ克服の打破なのです。粗治療なんですね。だって病院にも行きたくない天邪鬼なんです。そして学びます。これを描いた人間という者は、どういう人間の心理なんだろうかということ。これを読む人物は何が楽しくて読むのか、なんで読むのか、どうしてこれを書くのか---その裏にどんなストーリーがあり思惑があり構造とかなんやらを」
「それで、貴方様はどんなお気持ちでこれをお読みになっているんですか?」
「善良な読者様を巻き込みたくはないんです。貴方様のHPをこんなところで、無駄にはしてはいけません。だって、これがあと10回も続けられる保証なんてどこにもないんですからね」
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