霊護

@sy9980

第1話

同棲中の彼の裏切りを知って、私は荷物を全部持たせ、すぐさま追い出した。

別れの腹立たしさと悲しさでぐっちゃぐっちゃになり、考えたくなくても彼のことばかりが浮かんできて苦しい。

こんな自分が情けなくて、涙も出てくる。身も心も限界だった。

どこの部屋にいても思い出してしまうので、私はここを引き払うことにした。

次に移り住んだのは、築年数の古いアパート。

昔ながらの和室やレトロな雰囲気は生活空間に癒しと温かみをもたらせてくれ、家賃の安さも魅力だった。

引っ越ししてしばらくすると、何もかもリセットしてスッキリしたせいなのか、仕事がうまくいくようになった。

人数合わせでと頼み込まれて参加した合コンでは、素敵な男性との出会いもあった。

私には最近良いことばかりが続いているけれど、部屋にいると、背中に視線を感じることがたまにある。

振り返っても当然そこには誰もいない。得体の知れない妙にリアルな気配だけが残っていても、私はいつも素知らぬふりだった。

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