怪しい露店の不思議な卵【お題フェス11☆その②卵】

暗黒星雲

第1話 皇国のパレード

「サナ! おっひさりぶりい!!」

「ティナあああ! 会いたかったよおおお!」


 待ち合わせ場所の中央広場でサナが私を見つけてくれた。今日は建国際だから人が多いんだよね。サナは私の方に駆け寄って抱きついて来た。彼女は私よりも15センチくらい背が高い。そんでもってすっごいスリムでスタイル良くてめちゃカッコいい。


「はあああ。ティナのぽよぽよな体は相変わらずだね。柔らかくて気持ちいいよ」

「うん。でもね、ちょっと痩せてるんだよ。昔と比べるとだいぶ違うでしょ」

「そうだね。お腹とかかなりスッキリしてる。でも、この豊満なおっぱいは破壊力増してるね。三倍くらい強烈になってるよ」

「あははは……胸は痩せなかったんだ」

「ねえ、ちょっと触っていい?」

「え? ここはお外だよ。恥ずかしいよ」

「冗談冗談。さあ、お祭りを楽しもうよ」

「そうだね」

「ティナ、案内して」

「わかった」


 サナと会ったのは小学校以来。彼女は背が伸びてすらりとしたスリム美女になっていた。今日は一緒にお祭りを楽しもうって約束してたんだ。サナは学校を休んで隣の国から私に愛に来てくれた。私はもう嬉しくて飛び上がりたい気分だったのです。


「パレードはあっちの大通りだよ」


 私はサナの手を握って大通りへと向かう。

 今日は我がラグナリア皇国の建国際。今から今日のメインイベントである皇室のパレードがあって、私の大好きなウルファ姫も参加するのです。姫はミリア公爵家のご令嬢だから、こういう大事な行事には必ず参加させられるって話してた。だから、姫が恥ずかしくないように一生懸命応援するんだ。


「ねえティナ。今からのパレードは皇国建立の神話を再現するものなんだよね。皇家と公爵家が共同で」

「うん、そうだね。ラグナリア皇家が他の竜神族を平定し、世界を統一した過程を表現しているんだって」

「うん、そうだったね」


 来た。パレードだ!

 先頭はラグナリアの始祖アーティアス。白馬に乗った貴人は……ウルファ姫だ! ウルファ姫がアーティアス役なんだ。カッコイイよ!


 姫の後には黒い馬に騎乗した五大竜王が続く。そして、怪獣みたいな竜や大鬼が続く。彼らはもちろん仮装なんだけど、神話においてアーティアスに敗れて従属した勢力なんだよね。


 私は一生懸命「姫! ウルファ姫!」と叫んでいた。隣にいるサナと一緒に。周囲の歓声もすごかったけど、一番だったのはヘイゼル皇太子だった。五大竜王の筆頭役が皇太子で知名度は圧倒的に上だから仕方がないけど、でも、姫への声援も負けない位に多かったよ。


 怪物の後ろには皇族方と両公爵家の方々が続いた。歓声が絶えることはなく響いている。しかし……姫が通り過ぎた後は何だか白けちゃうよね。


「ねえティナ。あっちの路地の方に行ってみようよ。面白そうなお店が並んでるよ」

「そうだね。楽しそうだね」


 まだパレードは続いているんだけど、私はサナに手を引かれて大通りから離れた。向かったのは様々な露店が並んでいる路地だ。

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