意識高い系が如く
コーサク
第1話 エピローグが如く
ある夏の日、若い男女は墓の前で向かいあっていた。
アラーム音「ツクテンテテンテン ツクテンテテンテン」
水戸部俊、通称ミトシュンはアラームを止め、いつもの朝を迎えた。
朝のルーティーンは、まず起きてストレッチをし、水をゴクゴク飲むことだ。ストレッチはなんとなく体によさそうなのでしている。水を飲むのは、元アナウンサーの田中みなみが、水は体によいと言っていたからだ。
ごはんを食べ、歯を磨き、顔を洗い、髪を整えた後、寝間着から出社用のスーツスタイルに着替える。
まずミトシュンのコーディネートでかかせないのが、左腕に付けるロレックスのエクスプローラⅠだ。ロレックスという誰もが知ってる高級時計ブランドで、盤面が大きく、いかにも仕事ができそうな男に見える。3年程前にネットオークションで、100万程で手に入れたご自慢の一品だ。
ビジネス用の靴は1足しか持っていないが、ジョンロブを愛用している。英国の気品を感じるし、細身のフォルムと光沢のある黒革が最高にカッコいい。
スーツは青山で買った春夏用と、秋冬用を2着づつ持っている。スーツにあまりお金をかけていないのは、郷ひろみばりのジャケットプレイでもしない限りどこのブランドかわからないからだ。
Yシャツの上には必ず2着持っているダーバンのベストを着る。真夏の暑い時期でもけっして脱がない。なぜかって、できる男に見えるからだ。
ミトシュンは六本木駅から徒歩5分程の築40年で1kのボロアパートに住んでいる。家賃は月7万程だ。「どこに住んでるの?」と聞かれた時に「あ、六本木」と答えるだけのために六本木を選んだ。「あ、」を付けるのは余裕や、風格を感じさせるためだ。
着替えが終わると、颯爽と家を出た。
(さあ、今日も素敵な1日の始まりだ)
始業10分前、ミトシュンはいつも通りの時間に会社へ着いた。
同期の後藤健吾が忙しそうに「今日、よろしく」と言って、すぐ立ち去ってしまった。
(今日の合コン楽しみだぜ)ミトシュンは朝からワクワクしていた。
仕事なんてどうでもいいから、早く夜にならないかな、などと思いながら仕事をしていた。
そして徐々に合コンの時間が近づく!
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