石灰吟の娘たち
セオリンゴ
第1話 崇文門外の魔窟
大明の正統六年(1441年)、国の
玄冬から春へと足早に移る四角い北京城の城壁は九つの門を持つ。皇帝一族専用の正陽門は
その
参拝客はほとんど女ばかり。馬車や
どちらにしても、女たちは我も我もと後利益を求めて神殿に群らがり、
線香の煙が渦まき、ゆったり神殿の外へ流れだす。外では女道士たちがお守り札や
だが、十六歳の
参拝客を案内する
「これ以上、天姑小観の悪事に加担すれば、私は二十四の地獄に落ちて責め苦を受ける。いいえ、ここが地獄そのものだわ、天姑小観は
今までに天姑小観は親を失ったり捨てられたりした子供、出家志願の女、時には孤独な参拝者を誘拐してまで人買いに渡し、多額の手数料を得ていた。
その
「蔡知堂、住持室で四姑集をします。来なさい」
それは裏稼業の合図だった。淑雪の顔から血の気が引いた。功娘は
淑雪の脳裏にかつて薬を盛った娘たちの顔が浮かんだ。救けてと泣き叫ぶ女たちに無理やり痺れ薬を飲ませ、黄沁華が口に麻核を押し込む。そして闇に消えていくのだ。
「逃れたい。この悪業から逃れて三年前のように見習い女医に戻れるなら、私は杜巧娘を殺してもいい。ああ、天よ。私が牙婆の手下でなくなるにはどうしたらいいの。教えて、
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