色と音だけで、ここまで感情を運ばれるとは思いませんでした。金色、銀色、薄紫、雨音、静けさ。それぞれが説明ではなく“感覚”として差し出されていて、読む側はただ身を委ねるだけでいい。誰かと過ごした日々の記憶にも、もっと大きな流れに包まれている感覚にも読めるのに、どちらかに決めつけない書き方が心地いい。静かな詩なのに、読み終わると世界の輪郭が少しやわらぐ。忙しい時ほど、そっと開いてほしい作品です。