また明日、きっと天国で

第1話

辛い


お家に帰るとゴミだけの部屋がある。


弟と言い合いをした時に弟が投げた瓶でバキバキに割れたテレビがある。


お風呂は何年も何年も掃除がされてなくてカビが何層にも何層にも積み重なっている。


天井には昔お父さんが床に叩きつけたガラスの破片が突き刺さっている。


階段にも一段一段にしっかりと物が置かれていて、突き抜けていて日の光が入る空間のはずなのに窓のカーテンが閉められていて一番暗い場所になっている。


自分の部屋に入る。


西にしか窓がなくて日が入るのは夕方の夕日の日だけ。


元々ここはお姉ちゃんの部屋で、机の引き出しを引くとリストカットに使った道具が入っていた。


そのまま、外に出た服のまま、布団の中に潜って寝た。




僕には好きな人がいる。


高校に入って同じ部活に入って勉強もスポーツもできる人。


僕が普通の人と違うのは好きな人が男の人だったということだけだと思っていた。


部活や遊びなどでその人と関わっていくうちに自分の家が普通じゃないということに気付かされた。


部活の時に送り迎えをお母さんに頼むと嫌な顔をされた。かと言って他の家の人の車に乗せてってもらうと怒鳴りつけてくる。


僕は黙って好きな人の家の車に乗せてってもらって、部活の大会に行った。


僕は後部座席で好きな人が助手席。


当たり前に、その人は運転している人の子供で、家族だから。


運転している人は好きな人の母親でその人に話しかけていた。


弟がもうすぐ小学校を卒業すること、今日の大会の目標を聞いたり、くしゃみをしたらティッシュを差し出して心配している。


なんとなく好きな人は母親にそっけなく答えていて、いくら好きな人でも思春期の男の子なことには変わらないんだなと少し安心した。


けれど、その気持ちとは裏腹にその時にはまだ自分は明確に気づかなかった、心の泥が喉のところまで来ていた。

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