金の卵は願いをかなえる
橫原倫絵
昔々・・・・
昔々あるところに
とてもみすぼらしい女の子がいました
可哀そうな女の子
女の子は今日も日銭稼ぎをします
稼いだのはわずかなお金
そのお金を全部女の子はお父さんに渡します
「はん・・・・
これしか稼いでこねぇとはな
まぁいい・・・・」
そう言ってお父さんは
今日もお酒を飲みます
女の子はいつも通り馬小屋に戻り
寒い寒い地面の上で目を閉じます
いつも通りだった
いつも通りに目をつぶる
でも女の子は・・・・
ふと思ってしまいます
思って…口にしてしまいます
初めて…口にしてしまいます
「・・・・辛い、誰か助けて」
その呟きに誰も答えてくれはしない
シーンと静まり返った場所で
女の子の声だけが聞こえます
女の子は悲しい顔をして
ただ目をつぶりました
「・・・・・?」
女の子の瞼の裏が
キラキラと光り始めました
不思議に思った女の子が
目を開けると・・・・
目の前にキラキラした卵がありました
「なにこれ?」
不思議に思い女の子がさわると
卵から声が聞こえてきます
『お前の望みはなんだ』
「え?」
『お前の望みをかねえてやろう
お前の未来を幸福にしてやろう
幸せになる為の・・・・
力を与えてやろう
その代わり・・・・
死んだときは魂をよこせ』
女の子はその声の意味を理解します
女の子は怖くなりました
でも・・・・
「幸せ・・・・
私…幸せになれるの?」
『あぁ・・・・』
「なら・・・・ちょうだい
私…幸せになりたい」
その瞬間・・・・
キラキラした卵は割れて
女の子は力を貰えました
家が燃えていました
ゴーゴーゴーゴーと
燃えていました
女の子はその燃えた家を見て笑います
「おわった・・・・
終わったよ・・・・
もう…苦しい思いをしなくていいんだ!」
そう言って笑う女の子の手に
割れたキラキラと輝く黄金の卵がありました
黄金の卵は幸せを与える
大昔から言われてる言い伝え
でも・・・・
こんな言い伝えもある
その卵に願いを言ってはならない
願いを聞く黄金の卵は黄金の卵にあらず
「ふふ・・・・あははははは!」
それは・・・・
不幸な者の前に現れる
悪魔の卵・・・・
その願いをかなえた者は・・・・
その魂をくわれてしまう
「ねぇ・・・・
この先も・・・・
私を幸せにしてくれるんだよね!」
そう問いかける女の子の影の中に
おぞましく笑う影…一つ・・・・
『もちろん・・・・
幸せを与えてあげよう』
そう不気味な声は・・・・
笑ってそう言ったのだった
金の卵は願いをかなえる 橫原倫絵 @yokohararinne
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