シャボン玉のような回想録

@kafu714

第1話

目を覚ますとそこは辺り一帯平らな雲のような場所だった

「ここは?」

そう思い、あたりを見渡すと下からなにかプカプカと浮かんでくるものに気がついた。

シャボン玉だ、何故いきなりシャボン玉が出てきたのか、そしてここはどこなのか、情報が次から次へと出てくる。

深呼吸をし、目の前のシャボン玉を眺めていると、ある光景が浮かんできた。

「父さん?に母さん?」

浮かび上がったのは生まれてすぐの赤ちゃんを優しく見守る夫婦の姿だった、

突然こんな光景が浮かび上がってきたのか、わからぬまま目の前でシャボン玉は弾けた。

次に浮かんできたのは5歳位の男の子がコケて大泣きしている場面、7歳の友達と学校で走り回ってる姿、15歳ほどの少年が受験勉強に打ち込んでいる場面、18歳の青年が大学の合格発表で飛び跳ねている姿、社会人になり必死に働いている姿。

まるでエンディングのように浮かんでは消えを繰り返している。

そして最後に今までよりも大きなシャボン玉が目の前でふわふわと浮かんでいる。

それを眺めていると、最期の場面が浮かび上がってきた。

それは、車に轢かれそうになった子供を助けて代わりに自分が轢かれて、地面には赤黒い血が広がっているのが見える。

パンっと一際大きな音を立てて割れると同時にあることに気がついた。

ここは死後の国……いわゆる天国というやつだ。

「俺の人生、シャボン玉みたいに一瞬だったな……でもまぁ悔いはないかも。」

誰に向けたかわからない笑顔を見せ、男の体はシャボン玉のように跡形もなく消えた。

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