【お題フェス11】超美少女の人魚ちゃんとついに異種婚した俺が、乗り越えるべき愛の試練とその群像

Shiromfly

それは早めに言ってほしかったんだよね

 異種族婚が当たり前の世界に転生した僕は、なんやかんやと冒険を重ねていく内に人魚の彼女と出会った。


 タイプど真ん中。落ち着いた桃色の長髪に、一目で心を奪われてしまった。

 

 童顔で。細身で。だけど胸は豊かで――


 ――いいや。僕は、その見た目以上に、彼女の魂に惚れたんだ。

 

 確かに、共に冒険するには、人魚ならではの障害も多かった。

 海水ポンプを背負わせて海水マスクをつけさせたうえで馬車に乗せ、無理矢理に大陸を横断したことは本当に申し訳ないと思っている。言い出したのは僕だ。

 

 それでも彼女は、どんな苦境でも笑ってくれたし、どんな風景にも顔を輝かせていたし、そしてどんな時でも、僕を信頼してくれた。


 その信頼にどうしても応えたくなって、ある夜、輝く月の下、海辺の岩の上で、僕はプロポーズをした。


 その直後、彼女が少し照れた顔で言った。

「言い忘れてたけど……私、人魚は人魚でも、シャケの人魚なんだよね」

「ふーん……えっ?」

 

 ほ……ほう?


「だから、今夜は……川に連れていって。そして、上らせて……?」


 うん。ああ。そりゃあ。もちろん?

 いよいよ本当に結ばれるときが――んん?

「あのさ、それってつまり、その……つまり……」


 当惑している僕に、彼女が真剣な眼差しで、真っ直ぐ言う。


「私、頑張って産むから。卵」


 あっはい。

 だいたい想像ができてしまった。

 絵面も手順も。


 でもまあ、いいや。

 本当に好きなんだもん。






 


 その髪の落ち着いた桃色……ピンク色は、サーモンピンクだったんだね?

 カニとかたくさん食べてたもんね。殻ごと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【お題フェス11】超美少女の人魚ちゃんとついに異種婚した俺が、乗り越えるべき愛の試練とその群像 Shiromfly @Shiromfly2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画