人に向けて魔法が撃てない俺はニートになろうとしたら底辺クランに入団させられました

いぬぬわん

序章 過去の記憶


大きな屋敷の庭に少年と父の姿があった。


少年はふーっと息を吐き

足を広げ重心を下げ

腰の刀に手をかける。



そして鞘の中で魔力を貯め始める。



「そうだ!その調子だ!ハルト」



大きく野太い声だがどこか優しく感じる

その声を聞いて少年はうるさいなと思いながらも

魔力を貯めることに集中する。



そして─────



「赤月流 居合 千切!!」

あかつきりゅういあいちぎり



充分に溜められた魔力を居合と共に

放出し斬る。



その一撃はとても9歳の少年が出したとは

思えない程の、威力、精度を誇っていた。



「すごいぞ、ハルト!さすが俺の子だ!」


「へへっ当たり前だよ!毎日毎日練習ばっかで僕は疲れたよ」



毎日の練習にちょっと文句を言いながらも

褒められた事に対して嬉しさを隠せない様子の

少年。


自分の息子の成長に誇らしくて堪らない父。



「あらあら、2人で楽しそうにして、、母さんは除け者ですか?」


「まま!」


「おっと!急に飛び込んできたら危ないでしょ」


「だってままの事だいすきなんだもん!」


「え?俺は?」


「全くこの子ったら仕方ないわね

そんな子には……くすぐりの刑よ」


「ちょっ!やめっあはは!あはは!」


「ちょ、ハルト!父さんも好きだよな!?な!?」


父と母に愛されて幸せそうな少年。

その風景は誰がどう見ても幸せそのものだった。




──────────あの日までは



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