卵は守って育てにゃならんのです

お仕事中の情シス

卵を脱却した諸兄らへ

 卵、と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか。

 筆者は馬鹿なので真っ先に鶏卵を思い浮かべた。

 筆者は黒ギャルのケツみたいな色をした艶々の煮卵が好きだ。

 中の黄身がとろとろの半熟だと非常に嬉しい。


 悪ふざけが過ぎた。

 なので一旦画面越しにモノを投げつけるのはやめよう。

 とても痛い。



 卵、それは未熟であるものの象徴だ。

 同時に、可能性を秘めたものでもある。

 大事に守って育ててやれば、やがて立派な鶏へと成長する。

 いや、鶏じゃないかもしれない。

 なんたって可能性の塊なのだから。


 それが転じて、物事における初心者や、その道を志そうとする挑戦者たちの事を「卵」と称する事もある。

 後に大成するであろう才能を見いだせる存在には、「金の卵」という言葉で持てはやされたりする。

 きんたmごめんだから椅子や机を投げないで。


 かくいうカクヨムにも、「作家の卵」と呼べる存在はたくさんいる。

 卵が無事孵るか、それとも誰かに食べられてしまうかは、誰にもわからない。

 ただ、そんな卵たちをほったらかしにしても、無事に育ってくれる可能性は、残念ながら低い。

 誰かが守り、育てた方が、確実に可能性は上がる。

 創作というものの将来を見据えるのであれば、そんな卵たちを守り育むことが良いのは、誰にとっても自明のことだと思う。

 ただ、そんなことを言われてもスケールが大きすぎて手に余る、という人も多いかと思うが。



 一方で、この「卵」に、いらんちょっかいを掛けようとする輩も多くいる。

 悪戯に落書きしてみたり、突いて殻を割ってみたり、投げたり踏みつけたりして台無しにしたり。


 けしからんことだが、わからなくもない。

 誰にだって、暴力的な側面や破壊衝動といった、「悪」の側面はある。

 完璧な聖人などこの世には存在しない。

 むしろ、善意の裏に何らかの打算がある方が、人間らしいというものだ。

 そして、悪徳が前面に出るのもまた人間である。


 かくいう筆者も多分に「悪」の側面がある。

 その気質は、インターネットの底辺によくいるトロールと呼ばれる有象無象共と、かなり似たようなものを持ち合わせている。

 なので「卵」を割って潰そうとする連中の気持ちも、理解はできてしまう。

 賛同はしないが。


 また、卵割りどもの亜種ではあるが、本人は卵を育てているつもりでも、それが適切な手段ではないために卵を腐らせてしまうというパターンもある。

 卵を脱却したばかり、まだ不安定で未成熟な頃にやってしまいがちなことだと思う。

 しかし、これも卵を台無しにしていることには変わりがないので、無自覚な悪だと言えるかもしれない。



 筆者は一度、卵だった時期に、この手の悪意にさらされた。

 そして今、多分ヒヨコくらいには育っていると思っている。

 その上で、卵を守り育てるような行動……俗にいうスコッパーをやっている。




 随分前置きが長くなった。

 本エッセイは、ある程度の創作活動歴を経て「卵」を脱却しつつある作家の皆様に、「卵を割る側」になってほしくないということ、そしてできれば「卵を守り育てる側」になっていただきたいということを伝えるエッセイである。

 説教臭い内容だが、どうか最後までお付き合いいただきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る