第二話
翌日、俺は王城に呼び出された。王城にはすでに三人の勇者がいた。左にいるのが剣士の勇者エスパ。エスパという名前だが、魔法使いじゃないらしい。中央にいるのが魔法使いのマゴ、卵でも生み出すのか?右にいるのが回復のシオン。回復役らしい、やけに可愛い名前だな。
次の瞬間、王様は俺に向かって言った。
「三人の勇者と戦え。勝てなければ、ここから出て行ってもらう」
……こんな能力はいらない、ということらしい。
与えたのは王様だろ。
王様に歯向かうこともできず、俺は拳を握りしめた。
五秒だけ、何度でもやり直せる能力。
それで、この三人に勝てるはずがない。
三人の勇者は、俺を見下すように、笑った。
勇者三人は、先に闘技場へと面倒くさそうに入っていった。
少し遅れて俺が入った瞬間、
「出てけ」
「可哀想」
そんなブーイングが巻き起こった。
王様が「静粛に、これは神聖な決闘です。それでは始め」と強めに言った。
俺は三対一の戦いのどこが神聖な決闘なんだ、と大声で言いたかった。
ここで勝って見返してやると思ったもののどうすればいいのかわからなかった。
そうこう考えているうちにエスパが迫ってきていた。当たると思った瞬間、
無意識に「リトライ」と叫んだ。世界が歪み五秒だけ巻き戻った。
リトライと唱えると巻き戻しは発動するみたいだ。俺は「これなら行ける」と言った瞬間エスパが剣で斬ってきた。
俺は斬られた痛さに耐えられず倒れてしまった。エスパは「何が行けるって?」と言って見下してきた。クソ、どうすればいいんだよ。と苦しみながら立ち上がるとマゴが炎の魔法で追撃してきた。俺は焦りながら巻き戻しをした。よし、成功、魔法が迫
ってきてる。持って五秒だ。俺は頭をフル回転させる
五.....
四.....う~ん
三.....後三秒だ、やばい
二.....どうしよう
一.....もう持たない
そう思った瞬間、俺は魔法の下に隙間があるのを発見した。急いで三度目の巻き戻しをした。俺は魔法が来る前に急いでしゃがみ、魔法を避けた。避けて疲れ、安心しきった俺は次があるなんて思っていなかった。
そして俺は魔法の後ろから接近してきていたエスパに剣で刺され倒れてしまった。俺は刺された痛さと負けた絶望で動けずにいた。
王様は俺に向かって言った。
「勇者.....いや、無礼者は出ていけ」と。
民衆は「出てけー」と息を合わせるように言ってきた。
シオンが淡々と俺に近づいてきて軽い回復はしてあげると言ってきた。急な対応に驚いたが、動かせない体に絶望し、仕方なく「はい」と答えるしかなかった。
俺は絶望した。その日を区切りに俺は勇者ではなくなった。
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