2話



 ばっと跳ね起きる。


はっ


はっ


はっ


 息が乱れる。深呼吸。


ふぅーーーー


またあの夢。

私が、死ぬ夢。


 どこか高いところから飛び降りて、


死ぬ。


時計を見る。

午前5時くらい。

流石に、まだ学校に行くには早い。


 最近、ちょくちょくこんな感じの夢を見るようになった。投身自殺の夢ばかり。なぜなのかは、よく分からない。

 しかも、この夢を見る時、決まって寝る直前の記憶がない。いつ寝たのか、覚えていないのだ。最後の記憶は、学校の前で友達と別れたところ。

 学校の前で友達と別れてから寝るまでの記憶が飛び、投身自殺の夢を見て、朝跳ね起きる。

この流れ。


それも、今回だけではない。

以前にもを経験している。

ここ一年くらいの間に、何度も。


「はぁ」


よく分からない。

夢遊病と言うやつだろうか。

 

 そう思って以前、母にあれこれ聞いてみた。

『最近、普段の生活で様子がおかしいことはないか。特に、学校から帰って何をしていたか。』

が、何らおかしなことはないと言う。


普通に帰ってきて、

ご飯を食べて、

風呂に入って、

寝る。

いつも通りだと。


、、、謎だ。

そこの記憶がないのだから。


 記憶がない間も、私は私として生活できている、ということだろうか?

そういうことになる。

となると、単なる記憶喪失か。


いや、それはそれで問題だけど。 

、、、うーん?

精神科にでも行ってみようか?

何かの病気かなぁ。


あれこれあれこれ

考える。


 ふと、時計に目をやる。秒針が6時を指していた。


まあ、考えていても仕方がない。

自分だけだと分からない。

今日の学校帰りに精神科にでも行ってみよう。

そろそろ仕度でもしようかな。


「ふあぁ」


 大きなあくび。この夢を見るとき、大概起きるのが早くなる。

だから眠いのだ。とても。

 かといって、二度寝は厳禁。私のことだ、寝過ごすのが確定している。


、、、しょうがない。

弁当でも作るか。

昨晩のおかずでも詰めよ。


 せっかく早起きしたんだし、たまには自分でやってみよう。



====================



「なにそれ。黒いの。」


「、、、卵焼きだけど。」


「それ食べるの?ほんとに?」


うるさい。

しょうがないでしょ。

焦がしちゃったんだから。


「焦がしたってレベルじゃなくない、?」


うるさいなぁ、もう。


 今朝、弁当作りに挑戦してみたは良いものの。

昨晩のおかずの残りだけだと物足りないなと思い、卵焼きにまで手を出したのが良くなかった。

 結果、惨敗。火が強すぎたか、真っ黒焦げ。


うっうっわざとじゃないのに。


「ま、どんまーい。」


くそ。

煽るように言ってくるな。


「むかつく。」


「なによー。 

ぼっちで飯食ってるあんたに喋りかけてあげただけ、感謝しなさいよー。」


「む。」


昔馴染みと言っても、それは言い過ぎでしょうが。


「あんたの小学校時代のアレ。

ばら撒いてや」


「ごめんアタシが悪かったからそれだけは勘弁。」


ふっ。

私の勝ち。

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