第2話

 カレンの部屋に行くと、応接室にて読書をしていた。


 テーブルの上には飲みかけの薬草茶とまだ、手つかずのお菓子が盛り付けられたお皿がある。傍らにあるソファーにてカレンは腰掛け、膝の上に半分程は読んだ小説の本があった。カレンは不思議そうに顔を上げ、こちらを見つめる。


「やあ、カレン。クレバス伯の手伝いが終わったから、こちらに来たんだが」


「あ、ダントさん。父様のお手伝いが終わったのね」


 カレンは納得したと言いたげな表情になった。


「そうなんだよ、だからさ。ちょっと、休憩しないか?」


「分かった、ダントさんの分のお茶やお菓子を用意するわ。待ってて」


「あ、俺も手伝うよ」


 本を閉じて横に置き、カレンは立ち上がる。緩くウェーブした淡い翡翠色の髪が真冬の日差しの下、青銀に輝く。それが神秘的でちょっとだけ、見惚れてしまう。瞳も藍色で澄んだ湖を思い起こさせる。カレンは世間で言ってもかなりの美女だ。それでいて、家庭的で飾り気がない。他の男が放っておかないだろうな。


「ダントさん、どうかした?」


「いや、何にも。とりあえずは一緒に薬草茶を淹れに行こう」


「分かったわ、何の薬草が良いかな?」


「そうだな、今日はランカのお茶が飲みたいかな」


「あ、ランカね。今の季節には良いわね」


 取り留めもなく話しながら、一階にある厨房に向かった。


 カレンに教えてもらいながら、薬草茶を淹れた。茶漉しにカレンが調合した茶葉を匙で入れる。それをカップにセッティングして、上から適温のお湯を注ぐ。近くにいたメイドが蓋を手渡す。受け取り、カップに被せる。しばらく蒸らし、できたら。二つ目のカップも同じようにした。


「さ、出来たな。カレン、カップは俺が持って行くぞ」


「うん、私はお菓子を持って行くわ」


 互いに頷き合う。カレンの部屋に戻ったのだった。


 夕方になるまではカレンと二人でゆっくりと過ごす。一応、結婚前だから、俺は夜になると自室に戻るようにしていた。ちなみに、義両親も夜から朝にかけては若い男女が一緒にいるのは駄目だと言う考えだ。

 そんな訳でカレンと軽くハグをしてから、自室に行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

カレンへ贈る歌 入江 涼子 @irie05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ