カレンへ贈る歌

入江 涼子

第1話

 俺は異世界と言える所で生まれ育った。


 住んでいる国はリーンダイン王国、大陸の西端にある小さな国だ。名産品は宝石や魔石などの鉱石、麦などの穀物類になる。

 そのリーンダインの中でも、有名な名家の一つにイーダル侯爵家があり、俺は次男坊として生まれた。父はソアテル・イーダル、母はテレジア・イーダルという。長兄がアリオス、すぐ下の弟たる俺はダント、双子の妹達は上の子がテレサ、下の子はジーナといった。

 ちなみに、アリオスは29歳で既婚者。奥方で義姉のレインさんとの間に2人の男の子をもうけ、父の執務補佐をしている。次男の俺は4歳下で25歳だが。婚約者がおり、名前はカレン・クレバス伯爵令嬢だ。年齢は20歳であるが。

 背は一般女性の平均的な高さだ。が、体格はほっそりしていて華奢だった。しかも、性格が非常に大人しく内気、引っ込み思案ときた。そのため、幼い頃からガキ大将やらいじめっ子達の良い標的にされていたが。

 まあ、とにかく俺は15年間、婚約者でいたからカレンが心配でならなかった。なので、父君のクレバス伯爵には「婿入りします!」と最初から宣言している。伯爵は驚いていたが、カレンのためになるからと快諾してくれた。

 そんなこんなで俺は伯爵邸に行き、執務のノウハウを教えてもらう。


「……ダント君、書類の決済や作成にもだいぶ慣れてきたな」


「はい、伯爵のご指導のおかげです」


「そう言ってもらえると教える甲斐があるよ、今後もよろしく頼みたい」


「ええ、俺からもお願いします」


「さ、今日はこれくらいで切り上げよう。カレンと一緒に話してきなさい」


「ありがとうございました」


 俺は伯爵に深く一礼する。執務机の備え付けの椅子から立ち上がった。


「では失礼します!」


「ああ、カレンも待ちかねている。早めに行ってあげたら良い」


 伯爵は頷きながら、執務室を出る俺を見送る。その場を後にした。

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