俺を30分1000円で使う先輩に、恋をした
あっぴー
第一章 会議室での秘密の関係
第1話 ミステリアスな先輩女性
俺は
23歳、営業マン2年目。
「しかしまあ、俺たちゃ安月給だねえ。
若いからだけじゃなくて、同期でも成績悪いから出世できそうもないし、一生このままかねえ」
同い年の同期、
「ほんとだよね。
最低限の給料に、歩合制がついてるから、うまくいけばかなり稼げると思ってこの仕事にしたけど、完っ全に裏目に出たわ。
新型のゲーム機とかスマホとか欲しいのに、高いよね。
ゲーム欲をソシャゲで誤魔化そうにも、より楽しく遊ぼうとしたら結局課金だし、
サブスクとか電子書籍も気になるし、最近じゃ旅費や食い物も高いしさ。
なあんで消費欲旺盛な若者がこんな安月給なのさ!」
「いや、さすがにそれは……
俺はその中じゃ、新型ゲーム機と、サブスクはAIと動画配信サイト1つぐらいでいいわ。
お前は昼飯もいつも800円以上かけてるし、いくらなんでも金使いすぎ、自分に甘すぎ、さすがハチミツ。
欲しくなりすぎるなら、デバイスやアプリ減らすとか、目に入れない努力をしろよ!」
「ちぇー!
でもさ、やっぱゲーム機は欲しいよな」
「うん、金なら出す気なのに生産数足りてない状況だもんな」
「あの……
そのゲーム機なら、隣の駅のピッグカメラにありましたよ?」
もっそりした声に振り向き、俺と蟻沢は軽く驚いた。
声の主は、まず人と雑談しない、経理の
「えっ、ほんとですか、ありがとうございます、」
俺達のお礼を聞き終わるか終わらないかというタイミングで、蝶崎さんは既に流れるように席に戻っていった。
「蝶崎さんて、ほんっと無愛想だよなー!
たしかにパソコン業務はなんでもできるし、うちで一番タイピング早いけど、
そのぶん、30歳ぐらいだろうに結構金もらってるらしいのに、すっぴんで髪ボッサボサだし、服や持ち物も安っぽくてダッサイし、愛想なさすぎ!」
蟻沢はこう言うけど……
こういう、人が欲してる情報は仕事関係なく教えてくれるし、
悪い人じゃないと思うけど……
こんな、社内の人と仲良く雑談する俺だが、昼休みは毎日ひとりだ。
件の『いつも800円以上の昼飯』こと、大好きなスタミナ豚丼を食べに、歩いて10分かかるガッツリ系の丼屋に行くので、蟻沢ですら『そんなの付き合ってられっか! よく飽きないよな!』と根を上げたのだ。
俺に言わせれば、好物に飽きるなんて感覚はない。
大盛りにして、味噌汁とサラダをつけるからそんな値段になってしまうが、これぐらいしないと元気と満腹感、栄養バランスが賄えないし、同じだけの満足感や栄養がある他の物は、もっと高い。
「はいよー。
いつもありがとうねー」
「あら……
蜂木くんの毎日800円以上の昼ご飯て、これだったのね」
あれっ
……この声、ついさっき……
「……わっ!
ちょ、蝶崎さん?!」
他に男しかいない店で、地味とはいえ若い女性である彼女の姿は、新鮮で清々しく華やかに見えた
……社内ではそんな風に思ったことないのに、俺って単純……
「ちょ、蝶崎さんもお昼いつもここなんですか?!
き、気付かなかったなー!」
「ううん、この店に来るのは今日が初めて。
同じ店にはすぐに飽きちゃうから、最近はちょっと遠出をしてるのよ」
蝶崎さんといい蟻沢といい、なんだってそんなに同じ飯に飽きるんだよ
……あっ、しっくりくる好物に出会っていないのか。
「しかし、蜂木くん、たくさん食べるのね。
私がそんなの毎日食べたら、1ヶ月で肉団子になっちゃうわ」
そう言う彼女のお盆には、普通サイズのオクラ牛丼が一つだけ載っていた。
いや、たしかにそれで一応、3色の栄養素は摂れるけどさ
……摂れるけどさ!
「あはは、蝶崎さんでも肉団子とか、そんな冗談仰るんですね。
これぐらい食べないと、体力も気力も遣う営業なんてやってられないんですよ」
「そっか……お疲れ様」
彼女があまりにも素直な表情と声色を浮かべたので、逆に申し訳ないような気持ちになってきた。
「い、いやその
……俺の場合、元運動部でそこそこガタイいいので、単に食いしん坊なのもありますけどね。
蝶崎さんこそ、いつもお疲れ様です。
別の意味で疲れますよね」
「そうねえ……
頭痛がしたり、指が痛くなったり、肩が凝ったり……」
本当にしんどそうな様子で肩を揉んだ彼女は
……次の瞬間、ぱあっと霧が晴れたような表情を浮かべた。
「……そうだっ!
蜂木くん、1時間の昼休みのうち、
いつもここへの行き帰りに20分、食べるのに10分って感じでしょう?
で、お金が足りないんでしょう?
だったら、毎日昼休みの残り30分
……1000円で私のために働かない?」
「……えっ?!」
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